心臓
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第23回 臨床不整脈研究会
陳旧性心筋梗塞に合併した心室頻拍のカテーテルアブレーション治療にCARTO pace mapping software(PaSo) が有用であった1例
石川 由香子原田 智雄副島 京子松田 央郎高野 誠西尾 智渡邉 義之龍 祥之助三宅 良彦中川 毅
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2011 年 43 巻 SUPPL.3 号 p. S3_162-S3_167

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抄録
症例は58歳, 男性. 陳旧性下壁心筋梗塞, 僧帽弁置換術後, 植込み型除細動器(ICD)留置後. 軽労作で出現する数種類の心室頻拍(VT) は, アミオダロン, ソタロール, メキシレチンに抑制されずICD作動は頻回であった. VTに対しCARTOシステムに付属する新しいペースマッピングsoftware(PaSo)を使用しカテーテルアブレーション治療を行った. Voltage マッピングにて低電位領域を下壁, 前側壁領域に認めた. 誘発されたVT1~4は下壁のscarが起源で, 中隔側, 側壁側にexitが存在することが示唆され, entrainmentマッピング所見によるexit近傍(PaSO相関係数0.93)を焼灼した. しかし, VTは停止せずscarの中心部にカテーテルを動かしたところ, やや早期の興奮を認め, 同部位のアブレーションでVTは停止した. 次に誘発されたVT5, 6は非常に良好なPaSo相関係数が得られ, VT中にentrainmentペーシングを行ったところ, 心室を捕捉せずにVTは停止した. 同部位のPaSo相関係数は0.97と最も高い数値を示した. 同部位と周辺の良好なPaSo係数が得られた部位に焼灼を行いVTは停止, その後, 数カ月でVTは出現せず経過している. 複数のVTを認めた低心機能の陳旧性心筋梗塞例のアブレーションにPaSoが有効であったので報告する.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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