症例は64歳, 女性. 2005年に完全房室ブロックのため, DDDペースメーカー植え込み術を施行された. 2008年に左前脛骨部の皮膚生検からサルコイドーシスと確定診断された. 2009年4月より労作時呼吸困難が出現し, 徐々に増悪した. 2010年1月には軽労作でも呼吸困難が出現するようになったため, 精査目的で当院に紹介された. 心エコー図検査で左室拡大, び漫性の壁運動低下(特に心室中隔基部と後壁の菲薄化), Gaシンチグラフィや18F-FDG-PETで心臓への集積を認め心サルコイドーシスと診断した. 心エコー図検査で右室心尖部ペーシングによる左室同期不全も認めたため, 心臓再同期療法およびステロイド療法を開始した. また, 終夜睡眠検査で中枢性優位の睡眠時無呼吸症候群の合併を認めたため, 陽圧換気療法(adaptive servo-ventilation; ASV)も開始した. 治療後, 左室駆出率は22.5%から29.7%に, 拡張末期左室容積も148mLから104mLに軽度改善したが, reverse remodelingは認めず心機能改善効果は軽度であった. 心筋障害や左室remodelingの高度な症例での治療には一定の効果が認められたが限定的であった. このため, 心不全早期からの治療介入が重要と考えられたため, 文献的考察を加えて報告する.