心臓
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第24回 心臓性急死研究会
特発性冠動脈解離による院外心肺停止で救命しえた1例
志村 吏左沖重 薫畠山 祐子倉林 学青柳 秀志神田 茂孝鈴木 英俊井原 健介三輪 尚之吉村 浩司郎畔上 幸司八木 啓一伊藤 敏孝武居 哲洋
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2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_98

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抄録
症例は41歳,女性.既往歴に特記すべきことなし.バスケットボールプレー中に突然倒れた.全身痙攣,いびき呼吸とともに脈拍触知不可.偶然居合わせた救急隊員により心肺蘇生(CPR)施行.自動体外式除細動器(AED)装着で2回作動し,その後脈拍触知可能となる.
当院救命救急センターへ搬送.当院到着時,洞調律で血圧142/98 81bpm.心電図波形は右脚ブロック型の心室期外収縮性二段脈以外には,特に異常所見なし.心エコー上左室駆出率=78%で左室に明らかなasynergyみられず.心筋由来酵素の有意な上昇がみられたため,緊急冠動脈造影検査施行.冠動脈内エコー検査にて左前下行枝の幹部から末梢にかけて広範囲の冠動脈解離と#8部位中心の強度狭窄が判明した.血管内血栓は存在しなかった.緊急経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行しステント留置術施行.冠動脈解離の原因として血管炎などを疑い諸検査を施行するも,特に異常所見なし.最終診断として「“特発性”冠動脈解離」となった.本症は極めて稀な疾患のため報告した.
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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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