心臓
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44 巻 , SUPPL.2 号
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第24回 心臓性急死研究会
  • 五十嵐 裕美, 伊藤 博, 一林 亮, 坪田 貴也, 吉原 克則, 小泉 雅之, 佐藤 秀之, 山崎 純一, 池田 隆徳
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_5-S2_10
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代の男性, 未治療の高血圧の既往があり, 国内線の飛行機内で心肺停止となった.客室乗務員が自動体外式除細動器(AED)を装着し1回作動後に心拍が再開し, 羽田着陸後, 当センターに緊急搬送された.AEDの記録では心室細動(VF)を呈していた.JCSII-10, GCS E4V2M4, 瞳孔3mm大で左右差なく, 血圧212/mmHg, 脈拍111/分であった.心電図は洞調律で, V4~6誘導でstrain T波が認められた.脳保護目的で低体温療法が3日間施行された.復温後に意識状態は回復し, 神経学的後遺症は認められなかった.ACh負荷冠動脈造影で4-AVが完全閉塞となり, 冠攣縮性狭心症と診断された.心臓電気生理学的検査(EPS)でVFが誘発されたこともあり, 植込み型除細動器(ICD)が植え込まれ退院となった.2010年1月より当センターは羽田空港の航空会社と救急医療連絡会を行っている.同年10月に新国際線旅客ターミナルが開設し, 旅客数の増加が見込まれる.迅速な応急処置と救急処置で救急の輪が成立し, 社会復帰が可能となった症例であったので報告する.
  • 藤田 慎平, 鳩野 みなみ, 藤原 敬士, 三木 崇史, 宮地 剛, 山本 和彦, =川本 健治, 堀崎 孝松, 片山 祐介, 櫻木 悟
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_11-S2_16
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    50歳,男性.陳旧性心筋梗塞と拡張型心筋症よる慢性心不全,心房細動,多発肺脳胞,慢性腎不全にて当院通院中.2011年6月某日運転中に胸苦を訴えた後に心肺停止状態となった.Bystander CPRなく約15分後CPR開始したが,AEDは除細動非適応で病着時モニターはPEAであった.ACLSに反応せず発症約90分後PCPS挿入により心拍再開し,同時に脳低温療法を導入した.心臓カテーテルにてLMT血栓塞栓症であり血行再建を行った.第6病日CHDF開始,第8病日PCPS離脱したが,IABP離脱困難および透析困難が遷延した.第15病日CRT-D植え込みおよびCAPD導入を行い,IABPを離脱し得た.第40病日高次機能障害なく立位保持可能となり,第61病日人工呼吸器離脱にいたった.院外発症の長時間心肺停止患者に対してextracorporeal CPRと脳低温療法を併用し,良好な神経学的転帰が得られた1例を報告する.
  • 近藤 清乃, 平岩 宏章, 近藤 徹, 青木 聡一郎, 足立 史郎, 長尾 知行, 谷村 大輔, 加藤 俊昭, 石原 大三, 佐野 宏明, ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_17-S2_23
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,男性.夜間起床時に突然心肺停止となり,当院救命センターへ搬送された.Bystander CPRがあったが,救急車内での初期波形は心室細動(VF)であった.洞調律化までに複数回の除細動を要した.搬送直後より34度を目標とした低体温療法を開始した.低体温療法終了後は高次機能障害なども残さず健常時と同様の生活が送れる程となった.洞調律時の心電図にてA型WPW症候群を認めた.EPSではKent束を左室自由壁に認め,順伝導のKent束の不応期は200msであった.アブレーションを行いKent束離断に成功した.サンリズム負荷,アセチルコリン負荷試験は陰性であり,VFは誘発されなかったが,非持続性心室頻拍が誘発された.Pseudo VTが原因のVFと考えられた若年のCPAであったが,低体温療法により良好な脳機能回復を得て社会復帰が可能となった貴重な症例であるため報告する.
  • 森谷 尚人
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_24-S2_29
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:致死性不整脈の救命の手段として自動体外式除細動器(AED)が普及したが,病院内においてもその例外ではなくco-medicalによる救命も期待される.
    症例:53歳,男性.2010年11月初旬前壁梗塞にて入院.前下行枝の完全閉塞に対してステント留置を行った.第3病日にICUから一般病棟へ移りリハビリ経過良好であったが,第6病日未明に突然の心室細動(VF)をきたし病棟ナースによるAED使用による除細動により洞調律へ復帰した.装着中であったホルター心電図記録にてR on Tの心室期外収縮(PVC)からVFへ移行したことを確認した.冠動脈の血栓閉塞などは否定し,アミオダロンを導入した.その後の電気生理学的検査(EPS)にてVFが誘発され植込み型除細動器(ICD)植え込みを施行し脳虚血の後遺症なく良好な経過である.
    考察:病院の一般病棟ではICUと異なり,常に医師が常駐するわけでなく,緊急時のVFの対処にはco-medicalによるAEDの使用が有用と考えた.
  • 椚田 房紀, 夛田 浩, 関口 幸夫, 黒木 健志, 山崎 浩, 油井 慶晃, 中野 恵美, 井藤 葉子, 五十嵐 都, 金城 貴士, 吉田 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_30-S2_35
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.2011年4月に夜間,飲酒していて突然意識消失発作を起こした.救急隊によるモニター心電図で心室細動(VF)が確認され,自動体外式除細動器(AED)を施行され,洞調律に復帰した.頭部MRIや脳波検査,心エコー図で異常みられなかった.冠動脈造影検査で有意狭窄なかったが,アセチルコリン負荷試験で左冠動脈の広範な狭窄と回旋枝の閉塞がみられた.冠攣縮性狭心症の診断でカルシウム拮抗薬内服による薬物治療を開始した.植込み型除細動器(ICD)の植え込み術を行い退院している.退院約1カ月後に階段を駆け上った後に意識消失し,ICDが作動した.このときのICDの記録から心室期外収縮(VPC)からVFが確認され,ショックで洞調律に戻っていた.運動負荷心電図で下方軸,左脚ブロックタイプのVPCが確認された.トリガーとなっているVPCに対しカテーテルアブレーションを行った.Pace mapの一致する部位は肺動脈内中隔側であり同部の通電で,その後VPCは出現せず,後の運動負荷心電図でもVPCは起きなかった.肺動脈内に起源を有するVFでアブレーションが有効であった症例は稀と考えられた.
  • 高橋 智弘, 照井 克俊, 及川 浩平, 青木 英彦, 遠藤 重厚, 小松 隆, 中村 元行
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_36-S2_40
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:早期の電気的除細動が院外心肺停止(CPA)患者の生存率改善に有用であると報告されている.当院救命救急センターへ搬送されたCPA症例の現状を調査したので報告する.
    方法:2007年4月から2010年3月まで当院救命救急センターの外来診療記録をもとにCPAの病名のある270名のうち,救急隊により直接当センターへ搬入された院外CPA 223例を後ろ向きに調査した.
    結果:CPA患者の原疾患のうち心血管疾患は136例(61.0%)で,そのうち一般市民の目撃のある症例は60例(自宅内発生が70%)であった.60例のうち心室細動(VF)は20例であり,その予後をみると生存退院例が8例(40%),社会復帰例が5例(25%)であった.対象の中に一般市民による自動体外式除細動器(AED)使用例(public-access AED:PAD)はなかったが,院外で救急隊員による除細動が成功した3症例は全例神経学的後遺症を残さず社会復帰していた.無脈性電気活動(PEA)または,心静止(asystole)は合計40例であり,生存退院例が3例(8%)あったものの,社会復帰した例はなかった.内因性CPA症例への一般市民の心肺蘇生法(CPR)実施率は42.1%であり,過去の当院での成績に比べてやや増加していた.
    考察:院外心肺停止患者の救命率向上には,一般市民へのCPRのさらなる普及と,AED設置の充実が重要と考えられた.
  • 北村 健, 深水 誠二, 赤澤 良太, 名内 雅宏, 西村 卓郎, 渡邊 智彦, 島田 博史, 岩澤 仁, 石川 妙, 松下 紀子, 北條 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_41-S2_47
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は19歳,男性.朝6時にテレビでマスターズゴルフを観賞中に胸痛なく心肺停止となり,心室細動(VF)に対して救急隊が除細動を施行し,自己心拍が再開し当院へ搬送となった.来院時心電図は洞調律で高位肋間心電図を含めBrugada型心電図を認めなかった.後日施行したpilsicainide負荷は陰性だった.電気生理学的検査でVFは誘発されず,アセチルコリン負荷で冠攣縮を認めたため,冠攣縮性狭心症によるVFと診断しCa拮抗薬を内服,植込み型除細動器(ICD)を植え込み退院した.
    退院3カ月後,早朝にVFによるICD適切作動で来院し,心電図はBrugada型心電図を呈さなかったが,pilsicainide負荷により高位肋間でcoved型ST上昇を認めBrugada症候群と診断した.Brugada症候群の心電図変化の日内変動,日差変動は多くが指摘するところであるが,複数回のpilsicainide負荷を施行した報告は少なく,特発性心室細動患者でのBrugada症候群の診断において有用であると考えられた.
  • 山中 俊明, 山田 忠克, 川上 大志, 清家 史靖, 河合 勇介, 佐藤 澄子, 三根生 和明, 岡山 英樹, 風谷 幸男
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_48-S2_53
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代,男性.睡眠時無呼吸症候群,アルツハイマー型認知症にて当院へ通院中であった.2010年10月下旬,車内で意識消失,全身性の痙攣発作を約5分間認め,救急要請し当院搬送された.来院時意識清明で神経内科受診となり,てんかん疑いにて脳波検査を施行した.過呼吸賦活試験中に意識消失し,モニター上,心室細動(VF) を認めた.心肺蘇生処置を行いつつ自動体外式除細動器(AED) が装着されたが,洞調律へ自然復帰し循環器科を紹介された.身体所見としてJCS1-1 血圧:130/70 mmHg,HR:45/分,SpO2:99%(room air) で明らかな神経学的異常所見認めなかった.検査所見上,心電図: 脈拍45/分,V1, 2 coved型のST上昇を認めた.緊急冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず,過換気負荷にてVFが誘発された.Brugada症候群の疑いあり,翌日植込み型除細動器(ICD) 植え込み術を施行した.以降VFの発生は認めなかった.冠攣縮性狭心症(VSA) の鑑別目的に第14病日にアセチルコリン負荷試験を施行したが,右冠動脈の攣縮が誘発され,心電図上II,III,aVFのST低下とV1,V2誘導のST上昇を認め,冠攣縮性狭心症と診断した.Brgada症候群において過呼吸による副交感神経が亢進されVFが誘発された可能性と,過換気にて冠攣縮が誘発され虚血によるVFが誘発された可能性が考えられた.
  • 3症例における検討
    高橋 尚彦, 油布 邦夫, 中川 幹子, 犀川 哲典, 篠原 徹二, 脇坂 収, 安部 一太郎, 岡田 憲広, 原 政英, 吉松 博信
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_54
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:心室細動(VF)の既往を有するJ波症候群・Brugada症候群に対しては植込み型除細動器(ICD)が適応になるが,ICD植え込み後のVF頻発(electrical storm)は患者のQOLを大きく障害する.
    目的:J波症候群・Brugada症候群のelectrical stormに対して,シロスタゾールとベプリジル併用の長期有用性を検討した.
    症例:3症例はいずれも男性.症例1は32歳時にVFを3回生じたBrugada症候群.症例2は38歳時にelectrical stormを生じたJ波症候群(下壁および側壁誘導),症例3は35歳時にelectrical stormを生じたBrugada症候群.いずれもICD頻回作動に対しシロスタゾール(200~300mg/日)が著効した.シロスタゾールによる洞性頻脈・動悸に対しベプリジル(100~150mg/日)を併用し動悸は軽減した.3症例とも電池交換時のシロスタゾール休薬にともないST上昇・J波が顕著になり,再開後に消失・減高した.症例2は休薬翌日にVFを生じた.
    結語:J波症候群・Brugada症候群のelectrical storm 3症例に対し,5年以上にわたってシロスタゾールとベプリジル併用の有効性と安全性が確認できた.
  • 武 寛, 森田 宏, 杜 徳尚, 西井 伸洋, 橋本 克史, 永瀬 聡, 中村 一文, 河野 晋久, 草野 研吾, 大江 透, 伊藤 浩
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_55
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群(BS)では心室細動が問題となるが,まれに持続性単形性心室頻拍(VT)を起こすことがある.当院で電気生理学的検査を施行したBS 179人中4例にVTが誘発され,うち3例では入院前に動悸発作があった.2例(症例1,2)は右室流出路(左脚ブロックLBBB,下方軸)型VTでR波は症例1ではI,aVL誘導とも(-),最早期興奮部位は左冠尖にみられた.症例2ではR波はI(+),aVL(-)で,最早期興奮部位は右室流出路および左冠尖であった.症例1,2とも冠尖内に遅延電位を認め,同部位で通電するも無効であった.症例1では通電中に単形性VTが多形性VTに変化し,術後に心室細動を認めた.VTの機序としては,心外膜側起源で非リエントリー性と考えられた.右脚ブロック(RBBB)+上方軸型VTの2例は,VT中に前プルキンエ電位,プルキンエ電位が記録され,リエントリー性の特発性左室心室頻拍と診断した.
    Brugada症候群に伴う持続性VTを4例経験したので報告する.
  • 小田切 史徳, 関田 学, 小松 さやか, 杉原 匡美, 平野 景子, 小松 かおる, 林 英守, 戸叶 隆司, 住吉 正孝, 中里 祐二, ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_56-S2_62
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.2006年1月頃より抑うつ症状,被害妄想などが経時的に認められるようになり,同年4月にうつ病の診断で他院に医療保護入院した.薬物治療に難渋したため,同年5月に修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy; mECT) 目的で当院精神科に転院となった.既往歴,家族歴に特記事項はない.基礎心疾患はなく,安静時の心電図は軽度の左軸偏位と心室内伝導障害を認めるほかは異常所見なし.入院2日目に施行した第1回目のmECTは問題なく終了した.それから5日後に施行した第2回目のmECTにて,通電1分後より心拍数188/分のwide QRS頻拍が出現した.リドカインの投与で頻拍は停止せず,直流通電により停止させた.覚醒後の心電図に異常所見はなく,その後の諸検査においても器質的心疾患を疑う所見はみられなかった.mECTは重症精神疾患に対する安全性の高い治療法として積極的に施行されているが,通電直後には自律神経系の極端な変動が引き起こされることが知られている.本例は,mECTによる致死性不整脈誘発の可能性とともに,てんかん患者における突然死の原因を検討するうえでも示唆に富む症例と考えられた.
  • 山口 由明, 水牧 功一, 西田 邦洋, 岩本 讓太郎, 中谷 洋介, 片岡 直也, 坂本 有, 井上 博, 畑 由紀子, 西田 尚
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_63
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    発端者は19歳,男性.午前8時にランニング中に突然倒れ救急隊到着時に心室細動(VF)が確認され,除細動を繰り返されたが死亡した.剖検で器質的心疾患なく遺伝子解析でSCN5A mutation(R1193Q polymorphism)を認めた.突然死の2カ月前の心電図でQT延長はなかったが,早期再分極(V4~6のJ波)を認めた.症例の弟(14歳)と父(49歳)にも同様の遺伝子異常を認め,父の心電図では下壁誘導,左側胸部誘導にJ波を認めた.弟の心電図では早期再分極はみられずQTc=0.45と延長を認めたが,運動負荷試験での有意なQT延長はなかった.また,父と弟は加算平均心電図で心室遅延電位は陰性,plisicainaide負荷試験で有意なST上昇はみられず,24時間Holter心電図での心室性不整脈はみられなかった.若年突然死例の家族に同一のSCN5A遺伝子異常を有しながら,心電図で早期再分極とQT延長が混在したまれな一家系であると考えられた.
  • 阿部 百合子, 住友 直方, 大熊 洋美, 福原 淳示, 市川 理恵, 平井 麻衣子, 中村 隆広, 松村 昌治, 金丸 浩, 七野 浩之, ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_64-S2_68
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:抗真菌薬には種々の副作用が報告されている.抗真菌薬使用後QT延長に基づくtorsade de pointes(TdP),無脈性心室頻拍(VT),心室細動(VF)に対し静注用アミオダロンの効果が認められた小児例を報告する.
    症例:15歳,男児.再発急性リンパ性白血病(ALL)の化学療法後の骨髄抑制期間に深在性真菌感染をきたし,抗真菌薬であるアムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)を投与した.L-AMBの副作用と考えられる低カリウム血症を認め,補正を行ったが低カリウム血症が続いた.その後,真菌感染の増悪を認めたため,アゾール系抗真菌薬であるボリコナゾール(VRCZ)の追加投与を行った.VRCZ投与6日後から副作用と考えられるQT延長を認め,7日後からTdP,無脈性VT,VFをきたした.抗真菌薬の副作用と診断し,薬剤を変更して,さらなる低カリウムの補正を行い,メキシレチン,プロプラノロール,ニフェカラント,リドカインを投与したがVT,VFのコントロールは非常に困難であった.その後,アミオダロン1.6mg/kgの単回静注したところ,TdP,VTは停止し,アミオダロンの持続静注を開始したところVT,VFはコントロールされた.VT,VFは消失したが,抗真菌薬の変更を余儀なくされ,真菌感染の増悪を招き死亡した.
    結語:低カリウム血症を認めた場合に,ボリコナゾール(VRCZ)などQT延長を認める可能性のある薬剤の使用には注意が必要である.このような場合,アミオダロンの使用には注意が必要であるが,一部の症例では有効と考えられた.
  • 住元 庸二, 三浦 史晴, 井上 一郎, 河越 卓司, 嶋谷 祐二, 西岡 健司, 中間 泰晴, 岡 俊治, 臺 和興, 大井 邦臣, 大谷 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_69-S2_74
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    たこつぼ心筋症は1990年に佐藤らが症例を報告したことに始まる.以後,多数の症例報告があるが,torsades de pointes(TdP)合併例の報告は少ない.今回,われわれはQT延長とTdPをきたした,たこつぼ心筋症を報告する.
    62歳,女性.主訴:意識消失発作.現病歴:1年前より突然の眼前暗黒感を認めていた.2011年3月,30秒程度の意識消失発作を認め,当院救急搬送となった.来院後,心電図上著明なQT延長,巨大陰性T波,TdPを認めた.心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影検査では,たこつぼ様壁運動異常を認めた.一時ペーシング挿入し,第14病日に電気生理学的検査施行し,洞不全症候群と診断され,エピネフリン負荷にてTdPが誘発された.
    今回,われわれは,TdPを認めたたこつぼ心筋症の1例を経験したので報告する.
  • 岡田 清治, 太田 哲郎, 中村 琢, 村上 林兒
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_75
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    冠攣縮性狭心症(VSA)は一般的に予後良好とされているが,稀に致死的不整脈などで心肺停止(CPA)をきたすことがある.今回,CPA2症例を経験したので報告する.
    症例1:44歳,男性.2010年5月安静時の胸痛発作あり,心カテーテルにてVSAと診断.内服を行い経過観察となった.同年11月に運転中に意識消失,救急隊到着時CPAで救急搬送.搬送中の車内で心室細動(VF)となり自動体外式除細動器(AED)を使用し,洞調律に復帰,VSA発作によるCPAと診断した.
    症例2:40歳,男性.2011年4月朝トイレで意識消失,物音を聞いた妻が駆けつけたところ,あえぎ様呼吸だったために心臓マッサージを開始,救急隊到着時VFであり,AED使用で洞調律に復帰.緊急心カテーテルを施行したところ,冠動脈には有意狭窄はなく,エルゴノビン負荷で右冠動脈に99%の冠攣縮が誘発され,VSAによるVF,CPAと診断した.いずれの症例も低体温療法を行い独歩退院できた.
  • 坂部 茂俊, 森 一樹, 森脇 啓至, 里見 明俊, 杉本 匡史, 掘口 昌秀, 高村 武志, 河村 晃弘, 世古 哲哉, 笠井 篤信
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_76-S2_81
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例1:40歳代,女性.過去の健診心電図でV4~5誘導に早期再分極(early repolarization findings;ER) 所見を認める.某日昼間に失神し当院に搬送された.救急処置室で心室細動(ventricular fibrillation ;VF) が認められ電気的除細動をうけた.虚血が疑われたため,緊急冠動脈造影検査を行ったところ左冠動脈主幹部から左前下行枝近位部に攣縮が認められた.
    症例2:60歳代,男性.濃厚な突然死の家族歴あり.某日作業中に眼球上転を伴う短時間の失神あり,心臓性失神の可能性が高いと判断された.心電図にはII,III,aVF誘導にER所見があった.器質的異常はなかったがエルゴノビン負荷試験で冠攣縮が誘発された.両症例に薬物療法を行い,症例2に植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD) を移植した.
    まとめ:ER所見は特発性心室細動(idiopathic ventricular fibrillation;IVF) との関連が指摘されているが,ER所見をもつVFの中には,虚血イベントに容易にVFを合併する電気的特性をもつものが含まれる可能性を示唆する.
  • 尾形 剛, 但木 壮一郎, 藤田 央, 山口 展寛, 尾上 紀子, 田中 光昭, 石塚 豪, 篠崎 毅
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_82-S2_86
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    われわれは,全身麻酔手術中にメチルプレドニゾロンを静注した後に冠動脈攣縮をきたし,心肺停止となった1例を経験したので報告する.
    症例:60歳,男性.
    現病歴:2011年5月,全身麻酔下に後縦靱帯硬化症で前方固定術が開始された.吸入麻酔開始から1時間40分後,メチルプレドニゾロン1,000mgの静注を開始した.半量ほど静注した時点で,突然の血圧低下とモニター心電図II誘導のST上昇が認められた.昇圧剤,冠血管拡張薬に反応せず心肺停止状態となり,経皮的循環補助装置(PCPS)が挿入された.心拍拍動のない状態で施行した冠動脈造影は正常であった.造影中に心室細動に移行し,アミオダロンとカルディオバージョンによって洞調律に復帰した.この時点のSTは正常化していた.その後は循環動態が保たれ,PCPSから離脱できた.
    考察:手術中に生じる冠攣縮性狭心症について,文献的考察を加えて報告する.
  • 高山 亜美, 池主 雅臣, 有田 匡孝, 園田 桂子, 飯嶋 賢一, 佐藤 光希, 柏村 健, 和泉 大輔, 渡部 裕, 古嶋 博司, 小玉 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_87-S2_91
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例はエルゴノビン負荷試験にて冠攣縮性狭心症(VSA)と診断された72歳,男性.カルシウム拮抗薬と硝酸薬の内服治療を受けていた.内服治療開始から20年後,夜間に突然の心肺停止をきたした.救急隊により自動体外式除細動器(AED)治療が試みられたが作動が保留され,記録では無脈性電気活動(PEA)を認めた.救急外来に搬送され心肺蘇生にて心拍は再開した.入院後,再び徐脈性心房細動からPEAとなった.心肺蘇生後の12誘導心電図ではII,III,aVF誘導にてST上昇を認めたが,冠動脈造影では狭窄はなく,薬剤抵抗性冠攣縮性狭心症(VSA)としてカルシウム拮抗薬を増量し,本人・家族の同意のうえで植込み型除細動器(ICD)による治療を行った.心室細動ではなくPEAをきたすVSAは稀であり,ICD治療についての議論も含めて貴重な症例と思われ,若干の考察を加え報告する.
  • 冠攣縮研究会多施設共同研究からの報告
    高木 祐介, 安田 聡, 角田 隆輔, 緒方 康博, 関 敦, 住吉 徹哉, 松井 幹之, 後藤 敏和, 田辺 恭彦, 末田 章三, 佐藤 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_92
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:冠攣縮性狭心症(VSA)は院外心停止(OHCA)の原因の1つとなることが,知られている.
    目的:OHCAから蘇生したVSA症例の臨床的特徴,予後を明らかにすることを目的とした.
    方法:冠攣縮研究会多施設共同研究の登録症例を対象とし,OHCA蘇生例(n=35)と非OHCA例(n=1,394)の比較を行った.
    結果:OHCA例は非OHCA例に比して若年(58歳対66歳,p<0.001)で,誘発試験における LADの陽性率が高かった(72%対53%,p<0.05).OHCA例中14例にICD移植が行われた.診断後5年間の心イベントはOHCA例で高率(28%対8%,p<0.001)であった.ICD移植例のうち2例でVFに対する作動を認め,非移植例のうち1例で突然死を生じた.
    結語:OHCA蘇生例は高リスク群であり,より厳密な治療,観察を要する.ICD適応に関しては,さらなる検討が必要である.
  • 芥野 絵理, 菊池 幹, 百名 洋平, 吉村 仁, 折口 秀樹, 林谷 俊児, 毛利 正博, 山本 英雄, 瀬筒 康弘, 山本 雲平, 宮田 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_93-S2_97
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    急性冠症候群において致死性不整脈が出現し得ることは広く知られており,一般的には虚血心筋の再灌流時に発生すると考えられている.電気生理学的機序により急性冠症候群時の致死性不整脈発生機序は理論づけられているが,臨床的にどのような因子が影響を及ぼしているかは明らかとなっていない.今回,われわれは,2010年1月から2011年6月までの18カ月間に,当院において急性冠症候群に対する緊急経皮的冠動脈形成術を行った208例において,致死性不整脈出現にどのような因子が関与しているかを検討した.208例中18例において,急性期に心室頻拍/心室細動(VT/VF)などの致死性不整脈が出現した.致死性不整脈出現例での責任冠動脈は左冠動脈主幹部(LMT)が1例,左前下行枝(LAD)が5例,左回旋枝(LCX)が2例,右冠動脈(RCA)が10例であった.基礎疾患でのリスクファクターを検討したところ糖尿病を有する症例に多く,左右の冠動脈では右冠動脈を責任病変とする症例で出現しやすいという結果であった.
  • 志村 吏左, 沖重 薫, 畠山 祐子, 倉林 学, 青柳 秀志, 神田 茂孝, 鈴木 英俊, 井原 健介, 三輪 尚之, 吉村 浩司郎, 畔 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_98
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.既往歴に特記すべきことなし.バスケットボールプレー中に突然倒れた.全身痙攣,いびき呼吸とともに脈拍触知不可.偶然居合わせた救急隊員により心肺蘇生(CPR)施行.自動体外式除細動器(AED)装着で2回作動し,その後脈拍触知可能となる.
    当院救命救急センターへ搬送.当院到着時,洞調律で血圧142/98 81bpm.心電図波形は右脚ブロック型の心室期外収縮性二段脈以外には,特に異常所見なし.心エコー上左室駆出率=78%で左室に明らかなasynergyみられず.心筋由来酵素の有意な上昇がみられたため,緊急冠動脈造影検査施行.冠動脈内エコー検査にて左前下行枝の幹部から末梢にかけて広範囲の冠動脈解離と#8部位中心の強度狭窄が判明した.血管内血栓は存在しなかった.緊急経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行しステント留置術施行.冠動脈解離の原因として血管炎などを疑い諸検査を施行するも,特に異常所見なし.最終診断として「“特発性”冠動脈解離」となった.本症は極めて稀な疾患のため報告した.
  • 仲吉 孝晴, 外山 康之, 横山 晋二, 佐々木 健一郎, 上野 高史, 高松 学, 佐藤 明, 坂本 照夫, 今泉 勉
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_99-S2_103
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    わが国では,心臓外科が常勤されていない小中規模施設において心臓カテーテル検査・治療が施行される場合も多い.特に,地方の病院においては,手技中の重篤な冠動脈合併症が発生した場合に,高次病院への転院搬送に時間を要するためさらに,危険性が増すと考えられる.
    症例は60歳,女性.地方の中核2次病院で,冠動脈造影中に急性冠動脈解離による左冠動脈主幹部閉塞が発生した.緊急冠動脈インターベンションにてリカバリーを試みられたが,血流再開が得られない状況が続いた.報告を受け直ちに当院よりドクターヘリにてインターベンション専門医および経皮的心肺補助装置の搬送を行った.長期心肺停止状態となっていたが加療を継続した結果,最終的に高次機能障害なく独歩退院となった.
    地方遠隔地で重症の冠動脈トラブル発生時にドクターヘリによりインターベンション専門医や循環補助デバイスを搬送することで,有効治療開始までの時間を大幅に短縮させ,救命率の向上に有用であると考えられたため報告する.
  • 本多 勇希, 宮本 卓也, 高橋 徹也, 佐々木 真太郎, 大道寺 飛雄馬, 渡邉 哲, 久保田 功
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_104-S2_110
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.重症大動脈弁狭窄症による治療抵抗性不全症例.左室駆出率24%と低心機能で,ショックを呈しており,大動脈弁置換術は困難な状況であった.血行動態の改善を図るべく経皮的大動脈弁バルーン形成術(percutaneous transluminal aortic valvuloplasty;PTAV)を施行した.術直前の血行動態は血圧68/47mmHg,Forrester IV系,左室大動脈弁圧較差は79mmHg,弁口面積は0.26cm2であった.大動脈内バルーンパンピング,ペーシングバックアップ下に経大動脈性にPTAVを施行した.PTAV直後血圧維持が困難となり,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support;PCPS)を挿入した.PCPS挿入後血圧は速やかに回復したが,徐々に血圧維持が困難となり術翌々日死亡した.剖検上大動脈弁損傷や出血源などは認めず,広範囲腸管虚血の所見を認めた.また,胸部下行大動脈に著明なふじつぼ様プラークの形成を認め,さらに腹部大動脈においては,巨大黄色プラークの多発とlipid-richな潰瘍形成を認めた.大動脈プラークの存在が経過に大きく影響したと考えられた稀な1例を経験した.
  • 榎本 善成, 野呂 眞人, 伊藤 尚志, 久次米 真吾, 森山 明義, 熊谷 賢太, 酒井 毅, 坂田 隆夫, 杉 薫
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_111-S2_116
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,男性.17歳時に不整脈原性右室心筋症(ARVC)による心室頻拍(VT)から心肺停止となり,植込み型除細動器(ICD)を植え込み経過観察していた.2011年3月11日の東日本大震災以降,動悸の訴えあり3月14日ICD作働を認めたため,当院緊急入院となった.入院時心電図は,左脚ブロック型,右軸偏位のHR100台の心室頻拍(VT)であり,over-drive pacing,各種抗不整脈投与でも停止しないため鎮静下でVTコントロールを開始した.約1週間の鎮静でコントロール後,持続するVTは消失したため,第48病日に独歩退院となった.しかし,その後も心不全悪化のために短期間で再入院を繰り返し,6月4日に再入院となった.心臓超音波検査(UCG)では,右心系の著明な拡大のみならず左室駆出率10%程度の両心不全の状態であり,入院後再度VT storm状態となった.鎮静下でのコントロールも無効であったため,補助循環装置(PCPS)導入したが,VT stormが鎮静化することなく,死亡した.震災を契機にVT storm状態となり心機能悪化が助長されたARVCの1例を経験した.
  • 小松 靖, 五関 善成, 肥田 敏, 齋籐 龍, 小平 真理, 齋籐 友紀雄, 矢崎 義直, 平野 雅春, 山科 章
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_117-S2_121
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,男性.学校の授業で短距離走を行った直後に意識消失した.心室細動(VF)を認め,自動体外式除細動器(AED)にて4回DC施行後,自己心拍再開し,当院へ搬送された.低体温療法施行後3日目に抜管し,神経学的異常は認めなかった.心臓超音波検査および心臓MRIでは,心室中隔から心尖部にかけて肥厚を認めたが,流出路狭窄は認めなかった.冠動脈造影では有意狭窄を認めず,心筋生検では心筋線維の錯綜配列を認めた.レートポテンシャルは陰性であったが,右室心尖部からの期外刺激でVFが誘発された.また,判明した範囲内であるが,家族歴として母方の6等親内で8人の突然死を認めた.以上より突然死の家族歴を有する肥大型心筋症と診断し,2次予防目的で植込み型除細動器(ICD)植え込み術を施行し退院となった.本症例はVFが初発症状であり,今後,特に症状を有しない兄弟に対するリスク評価も必要と考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 中村 知史, 鈴木 雅仁, 杉山 浩二, 柳下 敦彦, 田中 泰章, 川端 美穂子, 笹野 哲郎, 蜂谷 仁, 平尾 見三, 梅田 茂明, ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_122-S2_127
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は14歳,女性.父と姉が肥大型心筋症(HCM)を指摘されている.8歳時に心電図異常(不完全右脚ブロック,下壁・側壁の異常Q波)のため,心臓超音波検査を施行されたが,異常所見は認められなかった.その後,なんら胸部症状を自覚することはなかったが,2011年体育の授業でランニング中に心肺停止となった.直ちに心肺蘇生術が開始され,学校に設置されている自動体外式除細動器(AED)で心室細動が確認され除細動に成功した.搬送先での心臓超音波検査上,左室前壁中隔の非対称性肥大(中隔15mm,後壁9mm)を認めた.低体温療法により脳神経学的には完全に回復し,精査加療目的で当院に転院となった.冠動脈造影では有意狭窄は認めず,心臓MRIでは中隔に遅延造影像を呈した.心筋生検では中等度の心筋錯綜配列と心筋肥大を認め,HCMと確定診断した.β遮断薬の服用開始および植込み型除細動器(ICD)植え込み術後の運動負荷試験では心室細動は認めず退院,外来観察となった.濃厚な家族歴を有し,運動誘発性の心室細動を発症した若年肥大型心筋症と考えられた.
    HCM患者における若年死亡の主な原因としては,心室不整脈があげられる.心臓突然死予防のためにはICD植え込みが必要であるが,植え込みによる合併症やQOLの低下も少なくないため適応には慎重な検討を要する.家族歴を有する若年者でのHCMについて,そのガイドラインなど文献的検討を含めて考察した.
  • 内藤 洋一郎, 川田 哲史, 渡辺 敦之, 香川 健三, 小出 祐嗣, 津島 翔, 戸田 洋伸, 和田 匡史, 寺坂 律子, 中濱 一
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_128-S2_133
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は16歳男性,45歳男性,23歳男性の3症例.いずれも先行する感冒症状を契機に突然の意識障害,血行動態破綻をきたし,心室応答をほとんど伴わない高度伝導障害を認め,緊急搬送となった.3症例とも一時ペーシング・大動脈バルンパンピング(IABP)を要し,2症例は経皮的心肺補助装置(PCPS)を併用した.いずれの症例も3~8日の経過で徐々に心室内伝導障害と洞機能の改善を認め,後遺症なく救命に成功した.寛解後の心電図にて完全右脚ブロックと完全左脚ブロックを1例ずつ認めた.電気生理学的検査(EPS),late potential,心臓MRI検査を施行したところ,完全左脚ブロックが残存した症例ではlate potential陽性,MRIで遅延造影所見,EPSにてHV間隔の延長を認めたが,他の症例では異常所見は認めなかった.一定期間の機械的補助での治療にて伝導障害が改善し,救命し得た劇症型心筋炎症例を3症例経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 川崎 志郎, 丹野 郁, 大西 克実, 菊地 美和, 横田 裕哉, 伊藤 啓之, 三好 史人, 渡辺 則和, 安達 太郎, 浅野 拓, 小林 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_134-S2_141
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.主訴失神.2011年4月1日,失神で当院救急外来を受診し,前胸部誘導のST上昇,完全右脚ブロック,血液検査で心筋逸脱酵素の上昇を認め,急性冠症候群が疑われ緊急冠動脈造影を施行した.冠動脈に有意狭窄を認めず,アセチルコリン負荷試験陽性で冠攣縮性狭心症と診断した.入院後,十分な冠攣縮性狭心症の治療にもかかわらず持続性心室頻拍が出現した.不整脈源性右室心筋症が疑われ,洞調律時の右室自由壁のlow voltage areaを中心にアブレーションを施行し,併せて心筋生検を施行した.アブレーション後も心室頻拍の抑制が困難で,electrical stormとなった.心筋生検の結果から慢性活動性心筋炎と診断し,ステロイドパルス療法施行したところ心室頻拍は抑制された.ステロイド療法が奏功した慢性活動性心筋炎に伴う持続性心室頻拍によりelectrical stormとなった1例を経験したため報告する.
  • 木村 雄弘, 安西 淳, 西山 信大, 福本 耕太郎, 相澤 義泰, 谷本 陽子, 谷本 耕司郎, 佐藤 俊明, 三好 俊一郎, 髙月 誠司 ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_142-S2_150
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.父が33歳時に突然死した.20歳時より高血圧に対して,また,32歳ころより発作性心房細動に対して近医で薬物療法が開始された.発作性心房細動の頻度および持続時間が増加したため,カテーテルアブレーション目的に入院した.入院後,両側肺静脈隔離術を施行.術翌日より発熱,胸痛が出現し心膜炎と診断し,NSAIDsの投薬を行った.術2日後の深夜および未明に心室性期外収縮から心室細動となり停止に自動体外式除細動器(AED)を要した.心室細動発症直前に全誘導でJ波の著明な増高を認めた.一時的ペースメーカー留置,イソプロテレノール持続静注にて心電図変化は徐々に改善し,その後,不整脈イベントを認めなかった.ピルジカイニド負荷試験は陰性.心臓MRIでは左室後壁から側壁にかけて脂肪線維変性,遅延造影効果を認めた.植込み型除細動器(ICD)植え込み術を施行した.心房細動に対するカテーテルアブレーション後に発症したJ波症候群の1例を報告する.
  • 吉岡 良造, 藤木 明, 阪部 優夫, 横山 恵理子
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_151-S2_155
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,男性.心電図異常,突然死の家族歴を認め精査目的に入院となる.心電図上I,aVL誘導にST上昇,aVL誘導にJ波を認め,夜間心電図変化は増強する傾向を示した.24時間Holter 心電図から求めたQT/RR回帰直線の傾きは0.08と低下していた.心臓電気生理検査ではコントロールでの右室心尖部・流出路よりの期外刺激では心室細動(VF) は誘発されなかった.その後pilsicainide(PLC) 25mg投与したが体表面心電図は変化しなかった.PLC投与後右室心尖部から期外刺激を行ったがVFは誘発されなかった.しかし,右室流出路から基本周期600msで220msの単発期外刺激を加えると,sine wave様の心室頻拍からVFが誘発された.
    今回の症例では心基部にNaチャネルの異常を有し,同部位で期外刺激により局所リエントリーを生じ,VFが誘発されたと考えられる.また,PLC負荷にて体表面心電図は変化しなかったが,期外刺激に対する反応は変化しており,Brugada症候群とは異なる機序が想定される.
  • 中川 孝, 八木 哲夫, 滑川 明男, 石田 明彦, 山科 順裕, 櫻本 万治郎, 佐藤 英二
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_156
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    患者は46歳,女性.東日本大震災で被災し体育館で避難生活をしていた.2011年4月某日の早朝,胸痛後に心肺停止となった.夫が心臓マッサージを行い,救急車内で自動体外式除細動器(AED)が作動し自己心拍が再開した.低体温療法を行い,後遺症なく回復した.AEDの記録ではJ波の出現とその著明な上昇の後に心室細動(VF)が生じていた.アセチルコリン負荷試験で右冠動脈と左前下降枝に高度な冠攣縮が誘発され,下壁誘導でAEDの記録と同様のJ波が出現した.冠攣縮性狭心症がVFの直接的な原因と考えられた.また,低カリウム血症,低マグネシウム血症,レニン・アルドステロン高値,血圧正常などの特徴からGitelman症候群と診断した.電解質補正後のQT間隔は正常で,心臓電気生理学的検査でVFは誘発不能だったが,電解質異常もVFに関与した可能性があった.植込み型除細動器(ICD)は本人が拒否したため,Caブロッカーなどの内服で経過観察中である.
  • J波を有する心電図の特徴
    大久保 公恵, 渡辺 一郎, 奥村 恭男, 園田 和正, 永嶋 孝一, 真野 博明, 小船 雅義, 小船 達也, 中井 俊子
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_157
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:J波は心電図上しばしばみられる所見であり,その予後は比較的良好と考えられていたが,不整脈の原因となるとも言われており,QRSの早期脱分極と心室細動(VF),突然死の関連も報告されている.
    目的:当院における特発性心室細動(IVF)の特徴につき検討した.
    対象:1979~2011年でVFが確認,もしくはCPA蘇生例で電気生理学的検査(EPS)を施行した患者17例.全例男性,平均年齢40歳,心機能は良好で全例CAG施行し,虚血は否定されている.
    方法:J波は12誘導心電図で下壁,側壁誘導にノッチを認めるものとした.14例で加算平均心電図を施行.EPSは心室期外刺激を右室心尖部(RVA)と右室流出路(RVOT)からS3まで行いVFの誘発を試みた.
    結果:J波を認めるIVFは11例で,下壁誘導8例,側壁誘導1例,両方が2例であった.Brugada症候群が3例,正常心電図を呈する症例が3例であった.LP陽性6/13例で認め,QT延長,短縮は認めなかった.EPSで16/17(94%)でVFが誘発された.15例でICDの植込みが施行されたが,その後の経過観察で適切作動,新イベントの発生はない.
    結語:基礎心疾患のないVF症例では早期脱分極異常であるJ wave syndromeの存在を考える必要がある.
  • 古川 善郎, 山田 貴久, 森田 孝, 田中 耕史, 岩崎 祐介, 川崎 真佐登, 蔵本 勇希, 内藤 尚, 藤本 忠男, 小津 賢太郎, ...
    原稿種別: 第24回心臓性急死研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_158
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    背景:近年,健康成人における下壁誘導,側壁誘導の早期再分極(ER)は突然死と関係するとの報告が散見される.しかし,慢性心不全(CHF)患者における報告は少ない.
    目的:CHF患者の突然死とERの関係を明らかにする.
    方法:対象は左室駆出率40%以下で脚ブロックを呈さないCHF患者91例.標準12誘導心電図にて0.1mV以上のERを認めた15例(ER群;男性13例,66.2±8.0歳)と認めない76例(N群;男性58例,61.8±13.7歳)の2群で,突然死の発生を前向きに検討した.
    結果:平均観察期間6.7年で20例が突然死した.ER群はN群に比して有意に多く突然死した(46% vs 17%,p<0.05).Cox回帰分析では有意にER群が突然死と関係していた(p<0.01,CI;1.35-8.79).
    結語:慢性心不全患者における早期再分極は突然死の予測因子となり得る.
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