心臓
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第24回 臨床不整脈研究会
心室細動蘇生後の顕性WPW症候群における副伝導路離断後のJ波の変化
松下 紀子北條 林太郎深水 誠二赤澤 良太貝原 俊樹名内 雅弘西村 卓郎渡邉 智彦北村 健岩澤 仁島田 博史石川 妙安部 朋美林 武邦小宮山 浩大田辺 康宏手島 保櫻田 春水西崎 光弘平岡 昌和
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2012 年 44 巻 SUPPL.3 号 p. S3_155-S3_162

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抄録

顕性WPW症候群では,心房細動(AF)の合併から致死性心室性不整脈が生じることが知られている.心室細動(VF)を呈し,自動体外式除細動器(AED)により心拍再開した顕性WPW症候群の男性3例を経験した.いずれも過去に動悸発作の既往はなく3例ともに早期再分極(ER)を下壁誘導・側壁誘導に認めた.冠動脈に有意狭窄は認めず冠攣縮も誘発されなかった.2例(30歳・57歳)では,副伝導路アブレーション後にはERは減高し,V4,V5でS波を認めた.慢性期にもERは減高したままである.また,アブレーション後の心室プログラム刺激により心室性不整脈は誘発されず,VFの原因はAFの関与が疑われ植込み型除細動器(ICD)植え込みはせず経過観察している.1例(35歳)ではアブレーション後にERは顕著となり,VFが再現性をもって誘発された.VFの原因としてERの関与が疑われ,ICD植え込みを施行した.慢性期にも明瞭なERを認める.
VFを生じた顕性WPW症候群においてERを認め,副伝導路治療後にJ波がより顕性化する場合にはVF発症にERが関与した可能性がある.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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