心臓
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第24回 臨床不整脈研究会
瘢痕部低電位領域内の微小電位を指標にアブレーションが成功した右房切開線心房頻拍の1例
高野 誠原田 智雄村上 浩北中 陽介高木 泰仲島 麻理可石川 由香子松田 央郎西尾 智松本 直樹幕内 晴朗三宅 良彦
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2012 年 44 巻 SUPPL.3 号 p. S3_184-S3_189

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抄録
症例は,74歳,女性.高度僧帽弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全,心房細動に対して僧帽弁,三尖弁形成術およびメイズ術を施行された患者.術後2カ月後より動悸を伴った頻拍で来院.不明瞭なP波を伴う心拍数160回のnarrow QRS頻拍(SVT)に対して心臓電気生理学的検査およびカテーテルアブレーションを施行.SVT持続し,周期340msを示し,3次元マッピングシステム(CARTO)を用いてactivationマッピングを行うと右房側壁の低電位領域を中心に上大静脈を時計方向回転へ旋回する興奮伝導を示した.SVT中に右房側壁の低電位領域に分裂した微小電位(<0.05V)を認め,entrainmentマッピングを行うとpost pacing intervalは頻拍周期と一致し,低電位領域は必須緩徐伝導部位と考えた.同部位での通電後3秒で頻拍は停止し,以後頻拍誘発するも誘発されずアブレーションに成功した.洞調律中にvoltageマッピングを作成,右房内は側壁を中心に切開線瘢痕巣と思われる低電位を認めた.Entrainmentマッピングにより低電位領域の微小電位が必須緩徐伝導部位であることを同定し得た症例を報告する.
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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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