心臓
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第24回 臨床不整脈研究会
心外膜アプローチにより左室前壁基部の低電位部位に緩徐伝導路を認め,アブレーションにより根治した拡張相肥大型心筋症に合併する持続性心室頻拍
西山 崇比古高月 誠司稲川 浩平勝俣 良紀佐藤 由里子木村 雄弘西山 信大福本 耕太郎萩原 陽子相澤 義泰谷本 耕司郎三好 俊一郎福田 恵一
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2012 年 44 巻 SUPPL.3 号 p. S3_173-S3_183

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抄録

症例は拡張相肥大型心筋症の59歳,男性.2001年,持続性の心室頻拍(VT)に対し植込み型除細動器(ICD)植え込み施行.2010年11月,2011年2月にICD頻回作動のため,心臓電気生理学的検査(EPS)/アブレーションを施行.右室流出路および左室心基部に低電位部位を認め,遅延電位およびペースマップを指標にアブレーション施行した.しかしながらEPS中に誘発されなかった,頻拍周期が長く(530ms)QRSの立ち上がりの遅い右脚ブロック型下方軸のclinical VTが再発したため,2011年2月に2回目のアブレーションを施行した.心窩部より心外膜穿刺を行い,洞調律下に心外膜マッピングを施行.心外膜側右室および左室前壁,心基部に低電位部位を認めた.心内膜側のペーシングでは誘発されなかったclinical VTが心外膜側からの刺激により容易に誘発された.VT中に心内膜および心外膜側両方からマッピングを行い,心外膜側前壁基部の低電位部位に長い拡張期電位を認め,同部位でのペーシングにてentrainment with concealed fusionを認め,post pacing intervalも頻拍周期に一致した.同部位への通電によりVTは4秒で停止し,誘発不能となった.近傍の遅延電位に通電を追加し,終了した.以後,VTの再発を認めず,経過良好である.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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