心臓
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第24回 臨床不整脈研究会
副伝導路が高周波カテーテルアブレーションによりdormant conductionとなりincessant form 型の房室回帰性頻拍で再発した潜在性WPW症候群の1例
上山 剛吉賀 康裕土居 正浩吉田 雅昭平塚 淳史福田 昌和加藤 孝佳文本 朋子松崎 益徳清水 昭彦
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2012 年 44 巻 SUPPL.3 号 p. S3_88-S3_95

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抄録

症例は54歳,女性.発作性上室性頻拍に対して心臓電気生理学的検査を施行した.逆伝導の最早期心房興奮部位は左側後壁であり,減衰特性は認めなかった.再現的な頻拍の誘発・停止が可能であり,正方向性房室回帰性頻拍と診断した.経大動脈的逆行アプローチにて施行したアブレーションでは離断に難渋し再伝導を繰り返した.14回目のアブレーションにより副伝導路は通電開始直後に離断され,以後の再伝導は認めなかった.イソプロテレノール負荷による再伝導も認めず,最終離断から60分以上経過した時点でATPによる評価を行った.ATP10mg急速静注により房室結節を介する逆伝導のブロック後に副伝導路を介する室房伝導の一過性出現を認めた.副伝導路の出現はATP投与時のみに認めるため,アブレーション困難と判断し,追加通電は施行せずに初回セッションを終了した.逆行性副伝導路は約1カ月後にインセサント型頻拍となって再発した.再セッションは経中隔弁上アプローチで行い副伝導路の恒久離断に成功した.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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