心臓
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第25回 心臓性急死研究会
心臓MRIは肥大型心筋症の治療方針決定の一助となり得るか?
永田 拓也百名 洋平菊池 幹吉村 仁折口 秀樹瀬筒 康弘橋本 亨山本 雲平宮田 健二毛利 正博山本 英雄野間 充多治見 司
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_104-S2_107

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抄録

 症例は71歳, 男性. 夜間覚醒時に突然の前失神発作を自覚し, 当院へ搬送された. 来院時症状は軽快しており不整脈などは認めなかったが, 心エコーで非対称性中隔肥厚を伴う左室肥大を認め, 心原性失神が疑われた. 心臓電気生理学的検査にて 6秒間の非持続性心室頻拍が誘発され, 臨床的に認められた前失神発作が出現した. 入院中のモニター心電図でも自然発作の非持続性心室頻拍がとらえられた.  肥大型心筋症患者に対する心臓MRIにおいて遅延造影MRIは心筋線維化の評価に有用であり, さらに, 遅延造影を認めた症例においては生命予後が不良との報告がある. 本症例における心臓MRIでは遅延造影MRIで, 下壁・側壁・前壁の中部心筋に遅延造影効果を認めた. 以上の所見を総合し, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みを行う方針とした.  今回, 症候性の非持続性心室頻拍を伴う肥大型心筋症患者に特徴的なMRI所見を認め, 治療方針決定における一助となる可能性が考えられたため, 報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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