心臓
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第25回 心臓性急死研究会
入社面接中に心室細動となり救命し得たQT延長の 1例
安原 容子平田 直己中川 晋蘆田 健毅山崎 祐樋口 聡遠藤 彩佳長谷川 祐高橋 寿由樹三田村 秀雄
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_108-S2_111

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抄録

 症例は22歳, 女性. 過去に 3回の失神歴あり. 今回は入社面接で自己紹介の順番を待っている際に意識消失した. Bystander CPRは行われず, 救急隊が自動体外式除細動器 (AED) を装着したところ心室細動 (VF) であった. 3回のAED作動後に自己心拍が再開した. 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったが, 左室造影にてたこつぼ様の壁運動異常を呈し, 左室駆出率は47%と低下していた. 低体温療法中に, QT時間は入院時465msecから最長816msecへと徐々に延長し, 多形性心室頻拍も出現した. ペーシングおよびβ遮断薬によりQT時間はほぼ正常化し, その後は不整脈も見られなくなった. 本症例は, 潜在的なQT延長症候群をベースとして, 入社面接という緊張状態からストレス性心筋障害を併発し, VFに至った可能性も考えられた.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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