2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_108-S2_111
症例は22歳, 女性. 過去に 3回の失神歴あり. 今回は入社面接で自己紹介の順番を待っている際に意識消失した. Bystander CPRは行われず, 救急隊が自動体外式除細動器 (AED) を装着したところ心室細動 (VF) であった. 3回のAED作動後に自己心拍が再開した. 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったが, 左室造影にてたこつぼ様の壁運動異常を呈し, 左室駆出率は47%と低下していた. 低体温療法中に, QT時間は入院時465msecから最長816msecへと徐々に延長し, 多形性心室頻拍も出現した. ペーシングおよびβ遮断薬によりQT時間はほぼ正常化し, その後は不整脈も見られなくなった. 本症例は, 潜在的なQT延長症候群をベースとして, 入社面接という緊張状態からストレス性心筋障害を併発し, VFに至った可能性も考えられた.