心臓
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第25回 心臓性急死研究会
経皮的大動脈弁バルーン形成術にて急性期の致死的状況を回避し慢性期に大動脈弁置換術へのbridgeに成功した重症大動脈弁狭窄症によるうっ血性心不全の1例
平山 敦士宮本 卓也佐藤 知佳安藤 薫石垣 大輔和根崎 真大沓澤 大輔佐々木 真太郎屋代 祥典大道寺 飛雄馬石野 光則田村 晴俊西山 悟史高橋 大有本 貴範宍戸 哲郎宮下 武彦渡邉 哲久保田 功
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_76-S2_79

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抄録

 症例は86歳, 女性. 症候性大動脈弁狭窄症 (aortic stenosis ; AS) にて外科的大動脈弁置換術 (surgical aortic valve implantation ; SAVR) を勧められていたが希望されず. 経過観察中に薬剤抵抗性心不全を発症し, 改善しないため, 当科紹介となった. カテコラミン依存性のNYHA Ⅳ度の状態で, Euro SCORE 29.6%, LVEF 21%, 安静時も低心拍出発作を繰り返していた. IABP standbyにて経皮的大動脈弁バルーン形成術 (percutaneous transvalvular aortic val-vuloplasty ; PTAV) を施行した. PTAVにより, 弁口面積が0.34から0.43cm 2へ改善し, カテコラミンからの離脱に成功した. BNPも6,831から1,762pg/mLまで低下し, NYHA ⅣからⅡ度まで改善した. PTAV施行からわずか 9日後に独歩退院することが可能となった. その後, 外来にてLVEFも39%まで改善し, BNPも912pg/mLまで低下した. PTAV施行半年後に再弁狭窄から息切れの増悪とBNP再上昇をきたしたことを契機にSAVR施行に同意され, PTAV後357日後にSAVRを施行し, 成功した. 独歩退院し, NYHA Ⅰ度, BNP 207pg/mLまで改善した. 重症ASに対してPTAVにより致死的な状況を回避し, 慢性期に左室機能の改善が得られ, SAVRへのbridgeに成功した貴重な 1例を経験したので報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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