2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_8-S2_14
症例は73歳, 女性. 持続する動悸を主訴に近医を受診し頻脈性心房細動を指摘された. 同院にて薬理学的除細動目的にベプリジル100mg/日とアプリンジン40mg/日が投与され, ビソプロロール2.5mg/日が追加されたが頻拍は停止しなかった. アプリンジンからシベンゾリン300mg/日に変更した 4日後に右側胸部誘導にST上昇を伴う完全右脚ブロックおよびPQ延長を伴う洞性徐脈と断続的なwide QRS tachycardiaによるプレショックをきたし前医に救急搬送された. 薬剤中止後は正常心電図であったがNaチャネル遮断薬負荷試験は陽性であった. 後に家族歴として長男 (31歳) , 叔父 (50歳代) が突然死, 長女は当院でBrugada型心電図, 心房頻拍・粗動のアブレーション治療歴があり, 孫にBrugada型心電図異常の指摘があることが判明した. β遮断薬とNaチャネル遮断薬によって致死性不整脈が誘発された症例で, 突然死を含むさまざまな表現形を呈したBrugada症候群の 1家系例を報告する.