心臓
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第25回 心臓性急死研究会
BAL所見が診断に有用であった持続性心室頻拍を伴う心室瘤の 1例
和田 匡史草野 研吾西井 伸洋永瀬 聡森田 宏中村 一文河野 晋久伊藤 浩
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_91

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抄録

 症例は75歳, 女性. 心拍数208/分の持続性心室頻拍にて当院紹介となった. 基礎心疾患精査にて後下壁領域に心室瘤を伴う心機能低下 (LVEF45%) を認めた. 電気生理学的検査でも容易に多種類心室頻拍が誘発され, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みを施行. 基礎疾患診断に難渋したが, 画像上の肺病変は認めないものの気管支肺胞洗浄 (BAL) を施行したことで最終的にサルコイドーシスの診断に至り治療方針を確定できた.  致死性不整脈などを機に心室瘤が特定されるも確定診断に至らず治療方針が決定できない症例がしばしば経験される. 心サルコイドーシスもまた, 心室瘤の形態異常を呈することがあるものの診断率の低い疾患である. しかし, 診断基準改訂後は, 組織学的証明がなくても臨床診断可能となり, 心病変以外の他臓器での所見診断が重要となる. 本症例は, 肺画像所見がなくてもBALまで施行したことで診断確定できた教訓的な症例であり報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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