2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_86-S2_90
症例は39歳, 男性の発作性心房細動 (PAF) 症例. 父もPAF. 突然死の家族歴はない. 2008年の健診で心房細動を指摘され当院を紹介受診. 心エコー図で僧帽弁逸脱による中等度の僧帽弁逆流症と左房拡大, 左室拡大 (Dd/Ds=5.8/3.6cm) を認めた. PAFに対するアブレーションを施行したが, 両側拡大肺静脈隔離後, 三尖弁下大静脈間峡部の通電中に心室細動となり, 電気的除細動を施行した. その後のプログラム刺激でも心室細動が誘発された. 心臓MRIでは特記すべき所見は認めず, 各種薬剤負荷にても有意な心電図変化は認めなかった. 2週間後に再度電気生理学的検査を施行したところ, 右室からのプログラム刺激で心室細動は誘発されなかった. 術後に心房頻拍が出現したため, ベプリジル, ベラパミルを開始し, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みは行わず退院とした. 以後, 外来にて経過観察を行っていたが, 1年 8カ月後に突然死した. アブレーション中に出現した心室細動が唯一の予測因子であった若年性突然死の症例を報告する.