2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_96
症例は34歳, 男性. 飲酒中に心室細動に伴う心肺停止状態となり当院救急搬送となった. 来院時も心室細動継続していたため, アミオダロン投与下に電気的除細動を繰り返し発症50分で自己心拍再開した. 原因検索のため, 冠動脈造影を含めた各種検査を行い, 虚血性心疾患は否定的であったが心エコー上, 左室後下壁の壁運動低下を認めた. また, 全身のリンパ節腫大あり生検を行ったところ非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が証明され, そのほかの検査所見と併せてサルコイドーシスの心筋浸潤に伴った心室細動と診断した. 植込み型除細動器 (ICD) の植え込み, ステロイド導入後に独歩退院, 致死的不整脈の出現なく経過している. サルコイドーシスは若年に多く, 心病変では心筋障害や伝導障害による多彩な不整脈をきたし突然死の原因となるため, 特に若年者では基礎疾患として鑑別に挙げる必要がある.