心臓
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第25回 心臓性急死研究会
たこつぼ型心筋症を合併した特発性心室細動の 2症例
佐々木 直子大久保 公恵奥村 恭男小船 雅義永嶋 孝一真野 博明園田 和正古川 力丈中井 俊子國本 聡渡辺 一郎平山 篤志
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_97-S2_103

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抄録

 たこつぼ型心筋症は一般的に予後良好とされているが, 稀に致死的不整脈をきたすという報告がある. 今回, 著者らは, 心室細動 (VF) を契機に発症したたこつぼ型心筋症 2例を経験し, 示唆に富む症例と考え報告する.  症例 1 : 30歳, 女性. 10年前に健診で右室流出路 (RVOT) 起源心室性期外収縮 (VPC) を指摘され, 5年前よりメキシレチン300mgを内服していた. 2012年 5月某日, 午前11時ごろ会話中に突然失神したため, 家族が救急要請し, 心肺蘇生を施行, 自動体外式除細動器 (AED) によりVFが確認され, 除細動された. 緊急冠動脈造影 (CAG) では左右冠動脈に有意狭窄は認めず, 左室造影 (LVG) で心基部の過収縮と中部以下の広範な左室壁運動の低下を認めたため, たこつぼ型心筋症と診断した. 後日施行したアセチルコリン (Ach) 負荷で冠攣縮は誘発されず, ピルジカイニド負荷でBrugada型心電図変化は呈さなかった. RVOT起源VPCに対してはアブレーションを行った.  症例 2 : 47歳, 男性. 2012年 8月某日, 午前 5時就寝中に突然胸背部痛を自覚し救急要請, 救急隊到着後AEDによりVFが確認され, 除細動された. 緊急CAGでは左右冠動脈に有意狭窄はなく, LVGで, 心尖部の膨隆に伴う壁運動異常と心基部の過収縮を認めたため, たこつぼ型心筋症と診断した. 後日施行したAch負荷で冠攣縮は誘発されず, ピルジカイニド負荷でBrugada型心電図変化は呈さなかった. 電気生理学的検査では心室期外刺激によるプログラム刺激で, 再現性を持ってVFが誘発された.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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