心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
僧帽弁形成術およびmaze術後に生じたupper loop reentry心房頻拍の 1例
早野 護内藤 滋人佐々木 健人塚田 直史中谷 洋介西内 英中村 啓二郎中村 紘規絈野 健一熊谷 浩司大島 茂
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_17-S3_22

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抄録
 症例は43歳, 男性. 2008年10月, 僧帽弁腱索断裂による僧帽弁閉鎖不全症を生じ, 心房細動も伴っていたため, 他院で僧帽弁形成術およびmaze手術を行った.  2009年, 動悸発作にて, 当院受診. 心房頻拍 (atrial tachycardia ; AT) を認め, 2月に入院. 頻拍中のCARTO でのactivation mapでは右房切開線を旋回するincisional ATであり, incisionからIVCにかけて線状焼灼を行い, ATは停止. 通常型心房粗動も誘発されたため, 下大静脈.三尖弁輪峡部にも線状焼灼を行い終了した. その後, 前回とは異なる波形のATの出現を認め, 同年 4月に入院. Mapping中に頻拍が停止し, その後誘発されなくなったため, 頻拍回路を同定できず, medication followとなった.  2012年 5月ごろよりATの再出現を認め, 同年 9月に入院. ATCLは290msec, 右房内は切開線, 脱血管の挿入部位, 前回の焼灼部位にscar領域を広範に認め, 上大静脈のやや右房寄りで前壁側, 側壁側, 中隔側, 後壁側でPPIがCLと一致していた. CARTOでのactivation mapでは, 上大静脈を中心に反時計方向に旋回するupper loop reentry ATが推察された. 上大静脈からscar領域まで線状焼灼を行い, 通電中に頻拍は停止した. しかし, 新たなCL390msecのATが誘発され, 再度, activation mapを行ったところ, RAA基部下方に最早期興奮部位を認めるfocal ATであった. 同部位への通電により頻拍は停止. 以後, いかなる頻拍も誘発されないことを確認して治療を終了した.  Upper loop reentry ATは開心術後, 特に本例のようにincisional ATへのABL後に合併する可能性があり, 多様な頻拍形態を呈した稀有な 1例を経験したので報告する.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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