心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
延髄虚血性病変に起因した洞停止をきたす吃逆性失神に対して薬物療法が奏効し, ペースメーカー植え込みを回避し得た症例
冠木 敬之藤野 紀之高澤 隆紀秋津 克哉湯澤 ひとみ鈴木 健也佐藤 秀之阿部 敦子福永 俊二小林 建三郎岡野 喜史山﨑 純一池田 隆徳
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_173-S3_178

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抄録

 症例は79歳, 女性. 主訴は繰り返す失神発作である. 失神時に洞停止が認められ, 恒久的ペースメーカー植え込み目的で当院に紹介入院となった. 心電図, 心エコー, 血液生化学検査に異常所見はなかった. 入院後の観察で, 吃逆時に強い嘔気と咳嗽が出現し, その後に失神をきたすことが判明した. モニター心電図で失神時に洞停止を認めていたが, 血圧をモニタリングしたところ, 洞停止を認めずに急激な血圧低下で失神することも確認された. 頭部MRIの施行では, 延髄腹側部に新規の脳梗塞像とその周囲に虚血性変化が認められた. 吃逆が失神発作に強く関与している可能性が高いと判断し, まず, 薬物治療による加療を選択した. 吃逆抑制として漢方薬である芍薬甘草湯, 迷走神経反射抑制としてムスカリン受容体遮断作用のあるジソピラミドを投与したところ, 吃逆および失神とも完全に消失した. 延髄梗塞に伴う吃逆性失神の治療において興味ある症例と考えられたので報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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