心臓
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[臨床研究]
急性冠症候群患者の軽度狭窄病変に対する心臓リハビリテーションの効果
黒瀬 聖司岩坂 潤二堤 博美山中 裕新野 弘美福島 八枝子日暮 恭子今井 優桝田 出武田 真一河合 忠一木村 穣
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2014 年 46 巻 1 号 p. 32-39

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抄録

 目的 : 急性心筋梗塞発症の70%は狭窄度50%未満の軽度狭窄病変からのプラーク破綻によって発症する. 本研究は, 急性冠症候群 (acute coronary syndrome ; ACS) 患者における責任病変より末梢に存在する50%未満の軽度狭窄病変に対する心臓リハビリテーション (心リハ) の効果を検証することを目的とした. 方法 : ACSで緊急冠動脈インターベンションを行った男性33名 (平均年齢 : 63.2±8.8歳, LVEF : 57.1±13.4%) を心リハ群17名と非心リハ群16名に分類した. 心リハ群はストレッチ, 有酸素運動, レジスタンストレーニングを90分, 強度は嫌気性代謝閾値で週3 回実施し, 通常治療群は定期的な外来受診のみとした. 入院時と6 カ月の冠動脈造影から定量的冠動脈造影 (quantitative coronary arteriography ; QCA) を行い, ステント治療部位よりも末梢の25~50%狭窄の部位を解析した. また, 両群の血液性状を比較し, 心リハ群は心肺運動負荷試験の指標も比較した. 結果 : 心リハ群は最小血管径, 狭窄率, プラーク面積, プラーク体積に有意な変化を認めなかったが, 非心リハ群はプラーク面積とプラーク体積が有意に進展した. 両群のLDL, L/H, HsCRPは有意に低下したが, 心リハ群のHsCRPは非心リハ群よりも低値の傾向を認めた. また, 心リハ群はpeak VO2が有意に増加した. 結論 : ACS患者に対する心リハは末梢の軽度狭窄病変の進展を抑制する可能性が示唆された.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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