心臓
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[症例]
異なる機序を介して逆たこつぼ心筋症様の左室壁運動異常を呈した2例
北條 林太郎田邊 康宏荒井 研左近 奈央子赤澤 良太名内 雅宏西村 卓郎渡邉 智彦北村 健島田 博史岩澤 仁石川 妙林 武邦小宮山 浩大深水 誠二手島 保櫻田 春水
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2014 年 46 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

 異なる機序を介して逆たこつぼ心筋症様の左室壁運動異常を呈した2 例を経験した. 症例1 は, 58歳, 女性. 癲癇発作で入院した. 心電図にてST上昇を認め, 緊急冠動脈造影検査にて有意な所見を認めず, 左室造影より逆たこつぼ心筋症が疑われた. タリウム (201 Tl) を使用した薬物負荷心筋シンチグラフィでは異常はなく, 123 I-MIBGでは壁運動の低下した心基部に一致する取り込み低下と洗い出しの亢進を認め, 逆たこつぼ心筋症に矛盾しない結果であった. 症例2 は, 81歳, 男性. 胸痛を主訴に来院され, 冠動脈造影にて, 高位側壁枝を含めた多枝冠攣縮を認めた. 左室造影にて逆たこつぼ心筋症様の壁運動異常を認めた. 201 Tlを使用した薬物負荷心筋シンチグラフィでは側壁に逆再分布現象を認め, 123 I-MIBGでは同部位に取り込み低下を認め, 冠攣縮後の再灌流障害と考えられた. 冠攣縮性狭心症とたこつぼ心筋症においては両者の鑑別が重要である. 冠動脈造影検査および左室造影に加えて, 201 Tlと123 I-MIBGを用いた心筋シンチグラフィを行うことは病態究明に有用であると考えられた.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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