心臓
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[症例]
81歳でmultidetector-row computed tomography (MDCT) にて診断された修正大血管転位症 (CCTGA) の1 例
尾関 真理子俵原 敬松成 政良神田 貴弘宮島 佳祐田村 純高林 瑠美待井 将志浮海 洋史
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2014 年 46 巻 1 号 p. 95-101

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抄録

 症例は81歳, 男性. 5 歳時から心雑音を指摘されていた. 52歳時に心室中隔欠損症, 肺動脈弁狭窄症を指摘されたが手術拒否, 以後保存的に加療されていた. 79歳ころより労作時呼吸困難が増強し当院に紹介入院となった. 入院後のmultidetector-row computed tomography検査により初めて修正大血管転位症と診断された. 体心室は駆出率67%と維持され, また三尖弁閉鎖不全は軽微なものでありBNPも72pg/mLとごくわずかな上昇にとどまったことから体心室不全は否定的であった. 心室中隔欠損症は膜様部に位置し肺体血流比0.62であった. 肺動脈弁は三尖で石灰化を伴い, 左室肺動脈圧較差118mmHgであった. 平均肺動脈圧は20mmHgであり肺高血圧症は否定された. 未手術の合併心奇形を有しながらも高齢まで生存し, 81歳で初めて修正大血管転位症と診断された稀な症例を経験したため報告する.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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