心臓
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一般演題
心室頻拍停止2日後にT波変化が最大となった心筋メモリー (cardiac memory) の1例
宮永 哲宇野 剛輝板倉 良輔木村 悠吉田 純山田 崇之鈴木 健一朗工藤 敏和小菅 玄晴中田 耕太郎久保田 健之小武海 公明清水 光行山根 禎一吉村 道博
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2014 年 46 巻 SUPPL.3 号 p. S3_139-S3_143

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抄録
 症例は31歳, 男性. 平成25年6月, 気分不快が半日以上持続したため前医を受診し, wide QRS頻拍 (心拍数200/分, 北西軸右脚ブロック型) が認められ, 当院へ救急搬送となった. 頻拍はATPの急速静注では変化なく, その後自然停止した. 頻拍停止後, Ⅱ, Ⅲ, aVF, V5-6で顕著なT波の陰転化, aVL, V1-3でT波の増高が認められ, この変化は2日後に最大となり, その後徐々に軽減しながら1カ月以上残存した. 心エコーでは左室壁運動異常なく, 冠動脈CTでも冠動脈に有意狭窄を認めず, 虚血性心疾患は否定的であり, このT波変化は心筋メモリーによるものと判断した. 頻拍は左室起源の特発性心室頻拍と考えられ, ベラパミル内服にて8カ月間再発なく経過している.  心室頻拍停止直後ではなく, 2日後にT波変化が最大となり, 1カ月以上残存した心筋メモリーの症例を経験した. T波変化の極性は心室頻拍の極性と方向が一致しており, 頻拍停止後でも心筋メモリーを利用して心室頻拍の極性を予測できることがあると考えられた.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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