心臓
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[臨床研究]
急性心筋梗塞後に発症した心室中隔穿孔に対するinfarct-exclusion法の検討
相澤 啓小西 宏明齊藤 力三澤 吉雄
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2015 年 47 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

 当院における急性心筋梗塞 (AMI) 後の心室中隔穿孔 (VSP) の検討を行った. 1999~2012年にかけて16例のAMI後VSPの症例に対してinfarct-exclusion法を行った. 患者背景は男性10例, 女性6例, 平均年齢は70.2±9.9歳であった. VSPの診断から手術までは平均2.2±6.6日であった. 16例中15例 (93.8%) が前下行枝領域を責任病変とする前壁心筋梗塞であり, 12例が1枝病変, 4例が2枝病変であった. 術前に左室自由壁破裂を伴った症例は3例であった. 平均手術時間は344±113分で4例に冠動脈バイパス手術 (CABG) を併施した. 在院死亡は5例 (31.3%) であった. 1例は術前から罹患していた大腸癌のため死亡した. 3例は術後の低心拍出症候群 (LOS) で死亡し1例は遷延するLOSの経過中に肺炎を併発し敗血症のため死亡した. 3例 (18.8%) に遺残短絡を認め, このうち1例は心不全の進行を認めたため再手術を必要とした.  術後LOSの克服, 遺残短絡を残さない工夫が今後の課題と考えられた.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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