心臓
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[症例]
多発動静瘻に伴う高拍出性心不全を呈したEhlers-Danlos症候群の1例
廣瀬 公彦田中 信大齋藤 友紀雄小川 雅史小平 真理山下 淳上山 直也稲垣 夏子黒羽根 彩子近森 大志郎山科 章
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2015 年 47 巻 11 号 p. 1337-1342

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抄録

 皮膚の過伸展や血管の脆弱性を呈するEhlers-Danlos syndrome症候群 (EDS) のうち, 特にⅢ型コラーゲン異常を示す血管型は動脈瘤破裂や消化管出血により突然死をきたす. 本症例は, 40歳代で大動脈解離を発症し, Yグラフト置換されるもEDSの確定診断には至っていなかった. 60歳代で心不全を発症し, 腹部の連続性雑音と高拍出性の心不全であったことから, 全身の動静脈シャントを精査したところ, 腹部大動脈~大腿動脈の広範な動静脈シャントを認めた. 臨床所見から血管型EDSと診断した. 血管型EDSは結合組織の脆弱性に伴い動静脈瘤を発症するが, 多発性動静脈瘻の報告はなく, 希有な症例と考えられた.

 しかし, 本症例は臨床症状からEDSと診断したが, 遺伝子解析の結果, 変異を認めなかった. 原因としてモザイクであった可能性, 疾患の異質性等が考えられた.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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