2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_107-S2_112
症例は57歳, 男性. 薬物抵抗性の発作性心房細動に対して近医で同側拡大肺静脈隔離術, 下大静脈三尖弁輪間峡部線状焼灼および上大静脈隔離術を施行. 心房細動の再発に対して当院で2回目のカテーテルアブレーション治療を施行した. 術前に施行した心臓CTにて左右下肺静脈は共通幹であることが確認された. 上大静脈-右房間に再伝導は認めず, 左下肺静脈-左房間に再伝導を認めた. Ensite NavXを用いて左房のvoltage mappingを作成したところ両側の上下肺静脈間には同側拡大隔離術の痕と思われる低電位領域が点在していた. 左右下肺静脈はBox隔離後様の低電位領域を認めていたが, 拡大隔離術の境界と思われるその中心には高電位領域が存在していた.
左下肺静脈を再隔離し, 両側の上下肺静脈間をつなぐように線状焼灼を追加. そして下肺静脈共通幹後壁の高電位領域に対して通電を行い, 以後入室時より頻発していた心房細動は消失した. 最後に再伝導を認めていた下大静脈三尖弁輪間峡部線状焼灼を追加し手技終了とした. 退院後も心房細動の再発を認めず経過良好である.
左右下肺静脈共通幹を有する稀な1例でありこれを報告する.