2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_101-S2_106
症例は65歳, 男性. 2014年, 他院にて発作性心房細動に対するアブレーション (肺静脈PV隔離術) を施行された. その後, 薬物コントロール困難で自覚症状の強い心房頻拍AT (頻拍周期=250ms, V1とⅠ誘導陽性でnotchあり) に対する治療目的で当院に紹介入院. 頻拍中にまずPV内を除く左房内のmappingを行うと, 右上PV前方の前庭部付近から左房全体へ巣状に興奮が伝播していた. 単発早期刺激による検討では, 右PVの前後上下の左房前庭部でpost pacing intervalが頻拍周期とほぼ一致していた. さらに右上PV内の電位を加えることで前後のgapを介しPV内を共通路としてdual loop型に興奮が旋回する頻拍が予測され, PV内でもpost pacing intervalが頻拍周期に一致し, 回路が確認された. 前方の前庭部は前回の通電の影響か比較的広い範囲で低電位を認めたため, 後方のPV内への入り口となっているgapへの通電で頻拍は停止. 頻拍中にPVから左房への出口となっていた前方のgapは, 洞調律中はPVへの入口となっていた. 前方のgapへの追加通電で隔離を完成させ終了とした. 以後, 現在まで頻拍の再発を認めていない.