心臓
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第27回 臨床不整脈研究会
頻脈誘発性心筋症によるQT延長症候群でTorsades de pointesを呈した1例
三輪 陽介副島 京子佐藤 俊明上田 明子冨樫 郁子星田 京子樋口 聡松下 紀子百瀬 裕一吉野 秀朗
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2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_72-S2_77

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抄録

 症例 : 症例は50歳男性. 呼吸困難, 動悸を主訴に来院し, 通常型心房粗動およびうっ血性心不全と診断した. 全周性壁運動低下を認め, 左室駆出率は26%であった. 心不全治療に加えてレートコントロールをβ遮断薬にて行い第2病日に自然に洞調律に復した. 洞調律は心拍数80/分で徐脈は認めなかったが, 著明なQT延長 (QTc>500ms) を認めた. R on TからTorsades de pointesを繰り返し, 電気的除細動を要した (計4回). また, 通常型心房粗動を繰り返し, カルディオバージョンを行い洞調律化した (計3回). 心機能低下に対してβ遮断薬を漸増し, QTc間隔は正常化した. 通常型心房粗動に対して三尖弁下大静脈峡部に, 線状焼灼を行い, β遮断薬を休薬した. 心機能は正常化しており, 頻脈誘発性心筋症と診断した. エピネフリン負荷試験でQT延長が顕在化したため, β遮断薬を再開した. 経過観察中に心房細動を繰り返し認めたため, 3カ月後電気的肺静脈隔離を行った. その際QT延長は認められず, エピネフリン負荷試験にても有意なQT延長は認められなかった.

 結語 : 頻脈誘発性心筋症によるQT延長症候群でTorsades de pointesを呈した1例を経験した. 心機能改善と同様, QT延長症候群において可逆性が確認された貴重な症例であり報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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