心臓
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第27回 臨床不整脈研究会
右房起源が疑われた僧帽弁置換術・Maze術後の僧帽弁輪起源心房頻拍の1例
佐竹 洋之福田 浩二近藤 正輝中野 誠瀬川 将人下川 宏明
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2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_79-S2_84

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抄録

 症例は76歳男性. 2011年僧帽弁狭窄症に対して僧帽弁置換術 (生体弁) 並びにMaze手術を施行した. 2014年3月より薬剤抵抗性の上室性頻拍発作があり当科紹介, RFCAの方針となった. EPSでは130bpm台の上室性頻拍が誘発され, CSカテーテルのsequenceはproximal to distalであり, 右房起源の頻拍が疑われた. CARTOのactivation map上はCS入口部の頭側を最早とするfocal patternを呈した. 同部位でP波に70msec先行する最早期興奮部位で通電するも頻拍は停止せず, 左房のmappingを行った. 左房内では, 両側肺静脈, 後壁は隔離されており, CARTO上, 僧帽弁輪12時方向を最早とするfocal patternを示した. 僧帽弁輪でのactivationは最早期部位から反時計方向に旋回し, mitral isthmus block lineは作成されていると考えられた. 最早期部位はP波に170msec先行し, 同部位の通電で頻拍は停止した. 周囲に追加通電を施行後, ISP投与下に頻拍の誘発不能を確認し手技を終了した. 左房後壁, mitral isthmus block lineが形成されていたため, 興奮は中隔から右房へとbreakthroughした後にCSへ伝播していたと考えられた. また, Maze術後であり, 左房の起電力に乏しく, 右房にbreakthroughした後にP波が形成されていたため, P波に対して左房最早期部位で著名に, また右房最早期でも比較的先行した電位が認められた可能性が考えられた.

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