心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第27回 臨床不整脈研究会
房室結節二重伝導の遅伝導路に対するカテーテルアブレーションに難渋した2例
古川 力丈奥村 恭男渡辺 一郎園田 和正佐々木 直子磯 一貴高橋 啓子大久保 公恵中井 俊子國本 聡平山 篤志
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_93-S2_100

詳細
抄録

 症例1 : 74歳男性. 繰り返す上室頻拍のため, 心臓電気生理学的検査 (EPS) を行い, slow-intermediate型の房室結節回帰性頻拍 (AVNRT) が誘発された. 解剖学的遅伝導路 (SP) 部位に対して焼灼を行ったが, その後もAVNRTが誘発されるため, 冠状静脈洞 (CS) 内およびSPの左房側より通電したところ誘発不能となった.

 症例2 : 77歳女性. 動悸のため来院. 動悸時の心電図ではRR間隔が交互に変化する上室頻拍を認めた. EPS上, 室房伝導はなく, 洞調律1拍に対してAH間隔の異なる心室応答が2拍出現したことにより, 房室二重伝導路によるdouble ventricular response (DVR) と診断した. 右房側より解剖学的SP部位を焼灼したが無効であり, CS内, 左房側より通電しDVRは消失した. 後日再発したため, 再度EPSを行った. 解剖学的SP, CS内, 左房側より通電したが, DVRの消失には至らなかった. 通電により, 一時的にWenckebach型房室ブロックとなったため, それ以上の通電を行わず終了した. 通電は不十分であったが, 現在は頻拍の再発なく経過している.

著者関連情報
© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事
feedback
Top