2016 年 48 巻 6 号 p. 625-631
症例は53歳女性. 51歳時に左回旋枝の急性心筋梗塞を発症し, ステント治療を受けている. 1年後の冠動脈造影では, ステントは良好に開存しており, 右冠動脈に異常を認めなかった. その2カ月後に下壁の急性心筋梗塞を発症した. 緊急冠動脈造影にて, 2カ月前に問題のなかった右冠動脈に高度狭窄を認めた. 形態や血管内超音波所見から特発性冠動脈解離による急性心筋梗塞と診断した. ステントとカッティングバルーンで治療し, 良好に拡張した. 合併症なく経過し, 2週後に退院となった. 1回目の急性心筋梗塞時の血管内超音波所見も冠動脈解離と考えられた. 特発性冠動脈解離の再発により急性心筋梗塞を繰り返したと考えられる症例を経験したので報告する.