心臓
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[症例]
院外心肺停止に対して経皮的心肺補助装置を導入し, 早期から経腸栄養を開始した1例
堀田 幸造黒住 祐磨佐賀 俊介小林 泰士中山 寛之谷口 良司佐藤 幸人
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2016 年 48 巻 6 号 p. 632-636

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抄録

 集中治療領域と異なり, 急性心不全領域における栄養管理に対する認識は高くない. カテコラミン投与・挿管管理・非侵襲的陽圧管理を必要とする重症急性心不全患者において, 循環器系集中治療管理は勿論重要であるが, 栄養管理を含む全身管理は最終的な目標である社会復帰に向けて極めて重要な要素である.

 本症例は30歳台の若年女性. 家族の前で呼吸停止し救急要請された. 初期波形は心室細動 (ventricular fibrillation ; VF) であり電気ショックを施行するも洞調律に復帰せず, 経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary system ; PCPS) を導入し, 全身管理を行った. 第1病日から栄養管理を開始, 第4病日に低体温療法, 第5病日にPCPSを離脱し, 第43病日に高次機能障害を認めることなく自宅退院となり, 最終的に社会復帰が可能であった. PCPSを必要とする重症急性心不全患者において, 集中治療室入室後24時間以内に経腸栄養を開始し, 特に大きな合併症を認めることなく最終的に経口摂取可能となった. 体外循環を必要とするような重症心不全で早期経腸栄養が可能な1例を経験した.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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