心臓
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[臨床研究]
胸骨正中切開後の胸骨固定におけるSuper FIXSORB® MX40の使用方法
阪下 裕司泉谷 裕則
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2016 年 48 巻 7 号 p. 730-734

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抄録

 背景 : 胸骨正中切開後の胸骨閉鎖固定法として, 金属ワイヤーによる固定が一般的であるが, 胸骨接合面のずれやワイヤーによる胸骨のカッティングなどで胸骨固定の安定性に問題が生じることがある. 以前より整形外科領域や肋骨の固定などに用いられてきた, 生体内分解吸収性骨接合剤のメッシュ型プレートであるSuper FIXSORB® MX40が胸骨固定に使用できるようになり, 当科での使用方法ならびに疼痛軽減効果を報告する.

 対象と方法 : 2014年9月~2015年5月に当科で施行した成人開心術症例42例 (平均年齢72.5歳, 男女比25 : 17) を対象とし, 金属ワイヤーのみで胸骨閉鎖した21症例をA群, Super FIXSORB® MX40を使用した21症例をB群とした.

 術前因子として年齢, 性別, BMI, 糖尿病の有無, 人工透析の有無, 術中因子として人工心肺の使用, 内胸動脈の使用, 術後因子としてSurgical Site Infection (SSI) の有無, 術後7日目における疼痛の主観的評価 (5段階, 1~5) を2群間で検討した. 術後CT検査を施行した症例では, 胸骨体部 (第3肋間) での胸骨接合面の前後のずれの程度を検討した.

 結果 : 両群間で術前因子・術中因子に有意差を認めなかった. 術後のSSIは両群ともに認めなかった. 術後疼痛に関してはB群でA群と比較し, 疼痛の程度は有意に軽度であった. 胸骨のずれに関しては, B群で有意に胸骨接合面のずれが少なかった.

 結語 : Super FIXSORB® MX40を使用することで, 胸骨の安定性が増し術後疼痛の軽減に寄与すること, また胸骨ワイヤーによる胸骨閉鎖時に本法を行うことで, 術後の早期離床ならびにリハビリテーションの促進が期待できることが考えられた.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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