心臓
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第28回 心臓性急死研究会
初診時にBrugada症候群の診断基準を満たす所見を得られなかったが, 後日施行した一卵性双生児の弟の所見からBrugada症候群と診断した症例
滝爪 章博西田 卓上田 友哉尾上 健児添田 恒有岡山 悟志渡邉 眞言川田 啓之川上 利香大倉 宏之斎藤 能彦
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2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_170-S1_177

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抄録

 症例は36歳男性. 心室細動 (VF) のため当院に搬送された. 心電図や心エコーに特異的所見はなく, 冠動脈造影検査 (CAG) では有意狭窄を認めず, アセチルコリン (Ach) 負荷試験で右冠動脈に冠攣縮が誘発された. 心臓電気生理検査 (EPS) でVFは誘発されず, ピルジカイニド50mg負荷でもST変化は認めなかった. 冠攣縮性狭心症, または特発性心室細動と診断し, 植込み型除細動器 (ICD) 移植術を行った. 後日, 一卵性双生児の弟に対して, 治療方針決定のため検査を行った. CAGで有意狭窄を認めず, Ach負荷試験は陰性であった. EPSではVFは誘発されなかったが, ピルジカイニド負荷でBrugada型心電図 (Type 1) への変化を認め, ICD移植を行った. 一卵性双生児のBrugada症候群は稀でありピルジカイニドに対する反応についても示唆に富む所見と考えられるため報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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