心臓
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第28回 心臓性急死研究会
左室後中隔近傍のVPCを契機とした特発性心室細動に対してアブレーションが奏功し, electrical stormを回避し得た1例
越智 明徳河村 光晴小川 洸中村 友哉猪口 孝一郎川崎 志郎宗次 裕美小貫 龍也箕浦 慶乃渡辺 則和安達 太郎浅野 拓小林 洋一
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2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_179-S1_186

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抄録

 症例は31歳男性, 主訴は意識消失発作. 2014年1月, 夜間就寝中にうめき声をあげ, 眼球が上転しているところを発見され救急要請された. モニターで心室細動 (VF) が確認され, 除細動後, 心拍再開し搬送された. 12誘導心電図, 心エコーで異常認めず, 冠動脈造影でも異常を認めなかった. その後, 心内膜心筋生検等で精査を行ったが, 器質的異常を認めなかった. 特発性心室細動の診断で植込み型除細動器 (ICD) 移植術を行い退院した. 2014年11月, VFに対してICD頻回作動しelectrical storm (ES) を呈した. 入院後にも, 夜間にESを呈し薬剤抵抗性であった. CCU病棟のモニター心電図で, 夜間のみに右脚ブロック型上方軸の単源性心室期外収縮 (VPC) を認め, VFはこのVPCを契機として開始した. VPCは僧帽弁輪から左室後中隔乳頭筋近傍が予想され, アブレーションを施行した. 検査中に指標とするVPCを認めず, モニターで記録したVPCを指標にアブレーションを行った. 左室voltage mappingでは低電位領域を認めず, pace mappingを行いgood pace mapが得られた部位とその周囲に通電を行い終了した. 以後, 約1年間経過し指標としたVPCを認めず, ESを回避している. 今回, 左室後中隔近傍のVPCを契機とした特発性心室細動に対してアブレーションが奏功した1例を経験したので報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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