2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_91-S1_96
症例は81歳, 女性. 2014年12月初旬, 動悸と呼吸困難感を認め, 近医を受診. 100拍/分の頻脈と左室駆出率低下 (39%), ならびに肺うっ血を認め急性心不全の診断にて入院となった. 頻拍のコントロールが困難であり, 心不全の増悪をきたしたため, 2015年1月中旬, 当院に転院となった. 心電図上, 心拍数150~160回/分の心房頻拍を認め, 左室駆出率は11%とさらに低下していた. 薬剤による頻拍のコントロールが困難であり, 心不全の増悪を認めたため, 心臓電気生理学的検査, ならびにカテーテルアブレーションを施行した. 3次元マッピングシステムを用いた左房のactivation mappingで, 頻拍は, 左房天蓋部の右上肺静脈寄りやや前方を最早期興奮部位とするcentrifugal patternを呈した. 最早期部位では, P波起始部に25msec先行し, 単極誘導でQS patternを呈する電位が記録され, 同部位での焼灼で頻拍は停止した. 以後, 頻拍は誘発不能となり, 術後2カ月で左室駆出率は44%まで改善し, 1年以上経過観察中であるが頻拍, および心不全の再発は認めない.