心臓
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第28回 臨床不整脈研究会
遠隔モニタリングデータからのICD作動予測の検討
藤石 珠美庭野 慎一村上 雅美中村 洋範五十嵐 建石末 成哉及川 淳岸原 淳深谷 英平阿古 潤哉
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2016 年 48 巻 SUPPL.2 号 p. S2_172-S2_177

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抄録

目的:近年多くの植込み型除細動器(ICD)症例でワイアレス送信式自動遠隔モニタリングが使用されるようになり,その有用性は大規模臨床試験でさまざまに検証されている.今回我々は,遠隔モニタリングで送信されてくるデータやその継時的な変動とICD作動の発生の関係を検討した.

方法:2013年から2015年の間,当院でICD植込みを行い,遠隔モニタリングを導入した患者70名を対象とした.11.6±4.9か月(6-22か月)の経過観察中,ICD作動を認めた作動症例と非作動症例で,臨床背景やICDの諸データを比較した.ICDデータとしては,4週ごとの心室のショックリード,ペーシングリードのインピーダンス,R波高,ペーシング閾値を評価し,継時的変動の指標としては各症例データの標準偏差(SD)を評価した.

結果:ICD作動は14/70人(20%)に認められた.ICD作動群では,非作動群に比して心室のショックリードインピーダンスのSDが有意に大であった(3.4±1.7vs. 2.5±1.3, p=0.032).またROC曲線を用いた検討では,SD≧3.1が最も有益なカットオフ値であり,AUC 0.70,感度57%,特異度79%でICD作動が予測できた.

結語:心室のショックリードインピーダンスの変動がICD作動の予測因子になる可能性があると考えられ,遠隔モニタリングはICD作動予測にも応用できる可能性が示唆された.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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