心臓
Online ISSN : 2186-3016
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48 巻, SUPPL.2 号
選択された号の論文の45件中1~45を表示しています
第28回 臨床不整脈研究会
  • 津島 翔, 渡邊 敦之, 上岡 亮, 橘 元見, 中川 晃志, 西井 伸洋, 森田 宏, 伊藤 浩
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. 63
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は16歳男性.電気生理学的検査にて,順伝導は房室結節二重伝導路を,逆伝導はHis束と冠静脈近位部が最早期の伝導を認めた.頻拍は順伝導のjump upを伴い誘発され,頻拍中の逆伝導は冠静脈洞近位部が最早期心房興奮(EAA)部位であった.頻拍中の心室単発刺激にて心房早期捕捉現象を認めず,頻拍中に2:1の房室ブロックの所見を認めた.Differential atrial overdrive pacing等の諸検査より頻拍は遅伝導路を逆伝導とする房室結節リエントリー性頻拍と診断した.心室刺激では頻拍に関与する逆伝導が安定して得られなかったため,頻拍中のEAA部位のマッピングを行う方針とした.しかし両心房内,CS入口部付近での通電は無効でMCV内の最も先行するEAA部位での通電にて頻拍は停止,接合部調律の出現を認めた.以後,頻拍は誘発されなくなり終了した.本症例は,逆伝導を有する遅伝導路がMCV内に存在した稀なAVNRT症例と考え報告する.

  • 樋口 晃司, 村本 容崇, 鈴木 篤, 檮木 優哉, 松本 彩和, 戸舎 稚詞, 荒木 恵子, 大西 隆行, 小林 一士, 大西 祐子, 梅 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_101-S2_106
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    48歳女性.5歳時に部分肺静脈還流異常に対する部分修復術を施行.術後も左共通管肺静脈から上大静脈への還流が残存した.2014年7月より心房粗動を認め2015年4月3日に心房粗動に対するカテーテルアブレーションを施行.頻拍中の12誘導心電図はII・III・aVFで陰性であり,3Dマッピング上も三尖弁輪を反時計に旋回する頻拍周期225msの通常型心房粗動であった.頻拍中に下大静脈-三尖弁輪間峡部のアブレーションを行ったところ頻拍周期が徐々に延長し240msに達した後,290msに延長したが右房側壁・冠静脈洞・アブレーションカテーテルの電位のsequenceにまったく変化がなかった.再度3Dマッピングを施行したところ右房側壁の切開線を旋回する非通常型心房粗動に変化していることが判明.切開線下端から下大静脈まで線状焼灼を行ったところ途中で頻拍は停止.下大静脈までブロックラインを作成し,その後は心房粗動の誘発を認めなかった.

    結語:先天性心疾患術後においては,通常型心房粗動と右房切開線を旋回する非通常型心房粗動は合併しやすい.この症例においては二つの心房粗動は心内電位のsequenceが極めて類似しており注意を要した.

  • 飯田 剛幸, 森田 典成, 上野 亮, 小林 義典
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_107-S2_111
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は47歳女性.発作性心房細動(AF)に対して2回のカテーテル治療歴あり.初回は左房GPアブレーションと両側肺静脈隔離(PVI)を施行し,頻回刺激によるAFの非誘発性を確認し終了.2回目は再伝導部に対するPVIと左房後壁隔離施行.ISP投与後Non-PV FiringからAFが誘発され,除細動後も同FiringによるAF(ERAF)が繰り返し出現.左房後下壁への焼灼およびSVC隔離を施行後,ISP負荷によるAF誘発不能を確認し終了.今回AF再発のため,3回目の手術を施行.これまではCARTOを使用していたが,Non-PV Firing起源同定のため,Ensite Arrayを使用.左房後壁の再伝導を認め,再隔離を施行.続いてISP投与にてNon-PV FiringによるERAFが出現.Arrayを左房内に留置し除細動後のFiring部の検索では左房側下部心房中隔に異所性興奮部位が同定された.同部位の通電にてFiringは消失し,ISP負荷後いかなるNon-PV Fociからの異所性興奮の出現はなく終了とした.本例のようにNon-PV FiringによるERAFを繰り返す場合は,除細動回数を制限し的確にERAFのトリガーとなる異所性興奮部位を同定するためにEnsite Arrayが有用と考えられる.

  • 大野 誠, 吉賀 康裕, 上山 剛, 文本 朋子, 石口 博智, 清水 昭彦, 矢野 雅文
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_112-S2_17
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は55歳男性.主訴は動悸.心電図で発作性心房細動(AF)を認めたため,2015年9月にカテーテルアブレーションを施行した.入室時よりAFが持続していたため,AF中に右肺静脈の同側隔離を行い,続いて左肺静脈隔離を試みるも隔離に難渋した.電気的除細動にて洞調律へ復帰させた後,隔離ライン上のgap部位を同定するために左上肺静脈内のリング状カテーテルからペーシング中に左房心房電位,洞調律中に左肺静脈内の肺静脈電位のactivation mapを作成した.exit部位である心房最早期興奮部位は左下肺静脈下方左房後側壁,entrance部位である肺静脈電位最早期興奮部位は左上肺静脈内前壁側であった.同部位はそれぞれMarshall静脈灌流域に一致しており,距離にして51mm離れていたことから,左房心筋−左上肺静脈間にMarshall静脈を介した短絡路の存在が示唆された.Ridge上左上下肺静脈分岐部に肺静脈電位よりも25ms先行する棘波を認めたため,同部位で通電したところ,左肺静脈の隔離に成功した.Marshall静脈周囲筋束が左上肺静脈内に結合していたことから,肺静脈隔離に難渋したと考えられた1例を経験したため報告する.

  • 黒飛 俊哉, 喜納 直人, 伊東 風童, 外村 大輔, 矢野 健太郎, 田中 千春, 嶋田 芳久
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_118
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例:47歳 男性.7年来の持続性心房細動(AF)に対してアブレーションを施行した.

    1st - 3rdの経過:左右肺静脈の拡大隔離,左房天井ラインおよび底部ラインの作成による後壁のBOX隔離,僧帽弁狭部ライン,上大静脈の隔離,三尖弁-下大静脈ラインを作成.さらに高頻度ペーシングでのganglion plexi徐脈陽性反応である冠静脈入口部領域,CFAE電位を示す左房中隔および左心耳基部に通電を行った.術中,左上肺静脈および左心耳領域に早期興奮を示すトリガーが確認された.

    しかし,術直後からのAFの再発を示し4度目のアブレーション施行となった.AFは冠静脈(CS)およびMarshall静脈(VOM)の造影時に一過性の停止を示した.AFはISP使用にてCSに早期興奮を示すトリガーにより自然発生を示した.VOMに4 ccの100%エタノールの投与中にAFは心房頻拍へと移行後,洞調律へ回復を示した.以後AFの再発なく経過良好である.

    まとめ:複数のセッションを要するアブレーション抵抗性例においてはMarshall bundleへの治療を考慮すべきである.

  • 西村 崇文, 谷本 耕司郎, 宮崎 良央, 福田 正, 三浦 光太郎, 山田 芽森, 山田 亘, 稲川 浩平, 池上 幸憲, 布施 淳, 坂 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_119-S2_123
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は77歳女性.動悸を主訴に近医を受診.ホルター心電図にて心房細動および停止時に5.6秒の洞停止を認めた.アブレーション目的で当院を紹介受診.アブレーションは洞調律下に左右肺静脈・後壁を含めたBox型隔離を施行.一周で隔離できず,冠静脈ペーシング下に多点マッピングカテーテルを用いてBox内activation mapを作成した.Box内最早期興奮部位はBox隔離ラインより離れた中央部であり,Box roofライン上ではdouble potential,bottomライン上ではやや遅れた分裂電位を認めた.心外膜を介した伝導を考え,Box内ペーシング下にactivation mapを作成したところ,Box内最早期興奮部位から1.8cm離れた天井部ライン上でgapを認めた.Box内ペーシング下に同部位への通電により,Box内外の調律の解離(内:ペーシング,外:洞調律)を認め,Box隔離に成功した.左房アブレーション後のgapの診断には心外膜側伝導を考慮する必要があり,アブレーションライン両方向のactivationを確認することが,gapの同定に有用であると思われた.

  • 脊古 裕太, 春名 徹也, 舩迫 宴福, 木村 祐樹, 関原 孝之, 林 秀幸, 岡野 光真, 佐々木 健一, 中根 英策, 宮本 昌一, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_124-S2_128
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例:70歳男性.心不全症状を伴う持続性心房細動(AF)に対して,2014年11月にPVIおよび左心耳近傍を含む左心房内CFAE通電を行った.心房粗動(AFL)が出現したため,2nd sessionを施行した.AFL(AFLCL 235ms)は僧帽弁輪を時計方向に旋回するmitral isthmus依存であった.左下肺静脈から僧帽弁口側壁方向にブロックライン作成(posterior mitral isthmus line)を試みたが,頻拍周期の延長は認めるもAFLは停止しなかった.Posterior mitral isthmus lineは未完成であるため,左上肺静脈の前壁天蓋から僧帽弁口前壁方向へのブロックライン(anterior mitral isthmus line)作成を試みた.Anterior mitral isthmus line作成中,AFLは停止した.約4か月後,頻拍周期が延長し,反時計方向に旋回するmitral isthmus依存性AFL(ATCL 406ms)が再発したが,前回のanterior mitral isthmus line中央付近のfragmented potentialへの通電中にAFLは停止した.Anterior mitral isthmus line作成後,左心耳への興奮伝導時間の延長が示唆されたが,洞調律時の僧帽弁通過血流で,左心房興奮波のQRS波に対する遅延はわずかであった.以後,洞調律維持され,心不全症状も認めていない.Mitral isthmus依存性AFLに対して,posterior mitral isthmus line作成困難であったため,anterior mitral isthmus line作成を行った.

  • 相木 孝允, 天谷 直貴, 玉 直人, 向井 萌, 松井 吟, 久嵜 香, 汐見 雄一郎, 長谷川 奏恵, 池田 裕之, 福岡 良友, 森下 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_129-S2_135
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は75歳,男性.拡張型心筋症・持続性心房細動・慢性心不全(EF=24%)にて近医通院中であったが,2015年3月心不全が増悪(NYHAⅣ度).カテコラミン点滴治療からの離脱が困難となり当院に転院となった.心電図上,左脚ブロック(QRS幅=140ms)と心エコーにて同期不全を認め,4月に心臓再同期療法(CRT)を施行.CRTにて心不全は速やかに改善(EF=34%;NYHAⅡ度)し,通院加療となった.

    同年8月中旬,左頸部の腫大を認め,甲状腺乳頭癌の頸部リンパ節転移と診断.腫瘤は急速に増大し,極めて強い痛みを伴った.疼痛の増悪に伴い頻脈性心房細動となり,両室ペーシング率が低下.心不全が再増悪(EF=21%)し,心不全コントロール目的に当科に再入院した.オキシコドンを含めた疼痛コントロール,β遮断薬・hANP等によるレートコントロール・心不全コントロールは効果なく房室結節アブレーションを施行した.術後,両室ペーシング率はほぼ100%となり,心不全は速やかに改善(EF=30%)し,9月末には甲状腺乳頭がん・頸部リンパ節転移摘出術が行われた.

    CRT術後にがん性疼痛からの頻脈性心房細動となり,両室ペーシング率が低下したため心不全の急性増悪をきたし,さらに房室結節アブレーションによる両室ぺーシング率の回復が極めて有用であった1例を経験したので報告する.

  • 三好 史人, 菊地 美和, 古屋 貴宏, 佐藤 千聡, 西蔵 天人, 池田 尚子, 若林 公平, 土至田 勉, 丹野 郁
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_136-S2_141
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    36歳,女性.主訴は動悸.心電図で左脚ブロック-下方軸型の頻発する心室期外収縮(PVC)/非持続性心室頻拍を認めた.CARTO SOUND®を用いて,PVC出現時の右室流出路(RVOT)および大動脈冠尖の詳細なジオメトリ(Sound Map)を作成し,CARTO SOUND®ガイド下にPVCマッピングを施行した.RVOTのマッピングでは,後中隔領域でPVCに24ms先行する最早期興奮を認めたが,pace mapは一致せず(PaSo® 0.59),通電でもPVCは消失しなかった.冠尖のマッピングでは明瞭な先行電位は得られなかったが,RVOT最早期興奮部位の対側にあたる大動脈左冠尖(LCC)と右冠尖(RCC)の接合部領域において,PVCに41ms先行する早期興奮を認め,同部位の通電でPVCは完全に消失した.CARTO SOUND®を用いたPVCマッピングでは,PVCの時相にあわせた解剖学的位置情報を正確に反映することが可能であり,アブレーションにおける有用性が示唆された.

  • 安達 亨, 横山 泰廣, 木全 啓, 小宮山 伸之, 丹羽 公一郎, 野上 昭彦, 青沼 和隆
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_142-S2_147
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性.前壁心筋梗塞に対してステント留置術後,薬剤加療中に動悸を伴う心室期外収縮(Ventricular Premature Complex, VPC)が認められ,カテーテルアブレーションを施行した.VPCは右脚ブロック型かつ上方軸で胸部誘導の移行帯はV1であった(VPC1).左室心内膜側で大動脈弁直下,His束直上の左側心室中隔でVPC1に34ms先行かつ良好なpacemapが得られ,VPC1の起源と判断しアブレーションを施行,VPC1は消失した.薬剤で誘発を行うと左脚ブロック型かつ下方軸で胸部誘導の移行帯はV2と,VPC1と異なるVPC2が認められた.右室心内膜側で,VPC1に対するアブレーション部位とちょうど対側に当たる右側心室中隔でVPC2に24ms先行かつ波形が完全に一致するpacemapが得られ,VPC2の起源と判断しアブレーションを施行,VPC2は消失した.心室中隔起源のVPCでは両心室に起源を有し両心室からのアブレーションを要することがあり,画像的考察を含め報告する.

  • 宮永 哲, 大井 悠平, 姜 錬偲, 吉田 純, 山田 崇之, 鈴木 健一朗, 小菅 玄晴, 中田 耕太郎, 石川 哲也, 竹田 康, 小武 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_148-S2_151
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は,44歳,女性.心室中隔欠損症(Ⅰ型)を指摘されていたが,シャント量は微量であり経過観察されていた.また,以前から心室性期外収縮(PVC)(正常軸左脚ブロック型,移行帯V3-4)に伴う脈の飛びを自覚していた.平成26年10月,連発する動悸を繰り返し自覚し,近医でホルター心電図を行ったところ,非持続性心室頻拍(心拍数190/分,最長30連発)を複数回認め,翌日当院へ緊急入院とした.第4病日にカテーテルアブレーションを行った.臨床的なPVCは散見されたが心室プログラム刺激で誘発できず,右室内をCARTO mappingして心臓CTとMergeさせた.pace mappingは欠損孔と同じ高さの右室流出路前壁で良好であり,前壁側から通電を開始して側壁側まで通電を広げた.側壁側での通電中にPVCが連発し,同部で通電を繰り返すうちにPVCは出現しなくなり,イソプロテレノール負荷でも誘発されず,手技を終了した.術後はPVC単発のみとなり,約1年間心室頻拍の再発は認めていない.

    心室中隔欠損症のシャント血流jetが当たる右室流出路前壁〜側壁起源の心室頻拍症例を経験し,アブレーション治療が奏功したため報告する.

  • 佐藤 慶和, 山分 規義, 垰本 優太, 雨宮 未希, 飯谷 宗弘, 山上 洋介, 中村 玲奈, 中野 国晃, 島田 博史, 清水 雅人, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_15-S2_22
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は16歳男性.WPW症候群に伴う発作性上室性頻拍に対してカテーテルアブレーションを施行した.右室刺激による室房伝導の最早期は左室後側壁でdecremental conductionを有しており,S1S2間隔の短縮に伴い最早期は徐々に左室側壁へ移行し,2本の副伝導路の存在が示唆された.さらにAP2は,刺激間隔の短縮に伴いS1S2:360msまでは刺激-心室時間の延長なく徐々に室房伝導時間が短縮するincremental conductionを呈し,その後はS1S2間隔の短縮に従い室房伝導が延長するdecremental conductionを認めた.またISP負荷中の右室期外刺激では,decremental conductionの程度が増強する現象が認められた.Incrementalおよびdecremental conductionを有し,ISP負荷により副伝導路の伝導特性が変化する1例を経験し,若干の文献的考察を加え報告する.

  • 川本 健治, 西原 大裕, 辻 真弘, 市川 啓之, 横濱 ふみ, 谷本 匡史, 大塚 寛昭, 山本 和彦, 田中屋 真智子, 片山 祐介, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_152-S2_157
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は74歳,女性.前医のホルター心電図にて50%を超える心室期外収縮や非持続性心室頻拍を認めた.心室期外収縮は,下壁誘導でのpeak deflection indexが0.66と0.6を超えており,心外膜側起源が疑われた.さらに心室期外収縮は,単形性で,右脚ブロック型+下行軸,Ⅰ誘導でrS,V5-6でS波を認め,下壁誘導にてノッチは認めなかった.大心静脈(以下,GCV)遠位部にて,局所電位はQRS起始部に30ms先行し,perfect pace mapが得られた.さらに,GCV遠位部近傍の左室心内膜側にてactivation mappingを行い,QRS起始部に12ms先行し,good pace mappingが得られた.GCV遠位部での通電も考慮したが,まず左室心内膜側の最早期興奮部位からの焼灼を行うこととし,焼灼開始25秒で心室期外収縮は消失し,その周囲に追加通電を行い,その後,再発を認めない.

  • 加藤 真史, 内田 文也, 西川 英郎, 藤井 英太郎
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_158
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    20年来の動悸症状があり,ベラパミルを定期内服していた50代男性.今回めまいを伴うVT(左軸編位,上方軸,右脚ブロック型)で2回他院救急搬送され,ワソラン,ATP等の抗不整脈薬無効のため,いずれもDC処置を要した.当院でのRFCAを希望され来院.当院のEPSでは,プログラミング刺激で心室頻拍誘発されず.RVからの240bpmの頻回刺激でVFに移行.DCでsinusに復した.VFの原因精査で冠動脈造影を行うも異常なし.心室頻拍誘発目的でサンリズム12.5mg静注,硫酸アトロピン使用するも誘発されず.ISP負荷後HRAからの頻回刺激で再現性を持ってVT誘発.頻拍中にLVでP1と思われる部位からのペーシングではconcealed entrainmentは得られず.VTの最早期興奮部位と思われる後乳頭筋近傍の通電で,responseを認めその後VT/VFいずれも誘発不能となった.AVNRT(slow/fast)も認め,一期的にslowpathwayに通電した.本例は心房からの頻回刺激で誘発されたVTで,EPSで誘発されたVFも誘発不能となったことより,乳頭筋起源の心室頻拍としては比較的稀と思われここに報告する.

  • 坂部 茂俊, 海野 航平, 伊藤 弘将, 後藤 至, 堀口 昌秀, 高村 武志, 刀根 克之, 前野 健一, 泉 大介, 世古 哲哉, 笠井 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_159-S2_165
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は80歳代男性,2012年に持続性心室頻拍があり,薬物療法と両心室ペーシング機能付き埋没型除細動器(CRT-D)埋め込みが施行された.2015年3月に約160bpmのVTと,約130bpmのVTが記録されたため,当院で高周波カテーテルアブレーションを行った.治療開始時に右脚ブロック右軸変位,150-160bpmの近似したVT1,VT2が誘発されたが,血行動態的にunmappableだった.Substrate mapを作成したところ,左室側壁基部から心尖部に及ぶ0.6mV以下の広範な低電位領域が示された.低電位領域内のpace mappingでは,基部側前壁寄りの複数の部位でlatencyなくVT2に約90%一致するQRSが得られ,VT2のexitは周辺に位置すると推察された.ここから低電位領域を後側壁に縦断するように線状焼灼したが,途中右脚ブロック左軸偏位,約120bpmのVT3が発生した.Activation mapを描くと,低電位領域内の基部側やや後壁寄りに最早期興奮部位があり,ここでのpacingではconcealed fusionが得られpost pacing intervalはcycle lengthに一致し,また刺激-QRS時間が局所-QRS時間に一致した.この部位における通電でVT3は停止した.このあと周囲の複数個所で,刺激-QRS時間46-136msecでVT3に95%以上一致するQRSが得られたため焼灼ラインを延長した.治療後7か月間VTはみられない.

  • 林 洋史, 鈴木 啓士, 三軒 豪仁, 古瀬 領人, 黄 俊憲, 細川 雄亮, 圷 宏一, 山本 剛, 岩崎 雄樹, 林 明聡, 宮内 靖史 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_166-S2_171
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は45歳男性.心筋梗塞に対する経カテーテルインターベンション施行6日後に同一波形の心室期外収縮(PVC)を契機として心室細動(VF)によるelectrical stormを生じ,緊急高周波カテーテルアブレーション(RFCA)を施行した.PVC(PVC-1)は右脚ブロック+下方軸型で,左脚前枝領域にPVC時のQRSに40ms先行するPurkinje potential(PP)が記録された.同部位を焼灼するとPVC-1は消失しVFも一時的に抑制された.術後,波形の異なるPVC-2(右脚ブロック+水平軸型)に続くVF stormが再発し,再度RFCAを施行.PVC-2は左室中隔領域が最早期興奮部位であり,PVC時にQRSに45ms先行するPPが記録された.同部位での焼灼でPVC-2は消失しESは抑制されたが,その後さらに波形の異なるPVC-3から再度VF stormとなったため3回目のRFCAを施行.PVC-3は僧帽弁輪0時方向の左心室基部近傍が最早期興奮部位であった.同部位を焼灼した結果PVC-3は消失し,以後VFは抑制され独歩退院した.複数のPurkinje起源PVCに対しRFCAを行うことでVF stormを抑制し得た心筋梗塞の1例を報告する.

  • 藤石 珠美, 庭野 慎一, 村上 雅美, 中村 洋範, 五十嵐 建, 石末 成哉, 及川 淳, 岸原 淳, 深谷 英平, 阿古 潤哉
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_172-S2_177
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    目的:近年多くの植込み型除細動器(ICD)症例でワイアレス送信式自動遠隔モニタリングが使用されるようになり,その有用性は大規模臨床試験でさまざまに検証されている.今回我々は,遠隔モニタリングで送信されてくるデータやその継時的な変動とICD作動の発生の関係を検討した.

    方法:2013年から2015年の間,当院でICD植込みを行い,遠隔モニタリングを導入した患者70名を対象とした.11.6±4.9か月(6-22か月)の経過観察中,ICD作動を認めた作動症例と非作動症例で,臨床背景やICDの諸データを比較した.ICDデータとしては,4週ごとの心室のショックリード,ペーシングリードのインピーダンス,R波高,ペーシング閾値を評価し,継時的変動の指標としては各症例データの標準偏差(SD)を評価した.

    結果:ICD作動は14/70人(20%)に認められた.ICD作動群では,非作動群に比して心室のショックリードインピーダンスのSDが有意に大であった(3.4±1.7vs. 2.5±1.3, p=0.032).またROC曲線を用いた検討では,SD≧3.1が最も有益なカットオフ値であり,AUC 0.70,感度57%,特異度79%でICD作動が予測できた.

    結語:心室のショックリードインピーダンスの変動がICD作動の予測因子になる可能性があると考えられ,遠隔モニタリングはICD作動予測にも応用できる可能性が示唆された.

  • 井村 慎志, 吉野 知秀, 今井 雄太, 角野 元彦, 進士 和也, 秋野 正敏, 保坂 文駿, 樽谷 康弘, 東 祐圭
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_178
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    66歳男性.主訴:動悸,胸痛.既往歴:高血圧,糖尿病.現病歴:高血圧,肥大型心筋症(HCM),心不全,発作性心房細動で近医通院中であったが,今回ショック,心室頻拍(VT)で某病院入院.アミオダロン服用もVTあり,ABL目的で紹介.CAG:有意狭窄なし.心電図:洞調律,不完全心室内伝導障害 LP:3項目とも陰性.心エコー:非閉塞性心肥大,LVEF35%,右室拡大なし.EPS:プログラム刺激で,周期250msecの左脚ブロック・下方軸型(LBBB-inf)の持続性VT誘発され(VT1),周期350msecのLBBB-infの持続性VT(VT2)に移行した.VT1,VT2とも血行動態不良で,VFへの移行があった.VT1は右室中位側壁でpace mapping(PM)が一致した.VT2は短時間のactivation mapだが,右室流出路中隔最早期のfocal patternが得られた.Cart-mapで低電位領域は認めなかった.VT1,2ともにPMの一致した部位に対してABLし,VT2は自然停止するか,誘発不能となった.VT1はATPで停止した.ICD植込み後,Sotalol服用でVTはない.

    まとめ:血行動態不良の複数単形性VTを有するHCM例を経験したので報告する.

  • 長谷川 祐紀, 和泉 大輔, 大槻 総, 飯嶋 賢一, 八木原 伸江, 佐藤 光希, 池主 雅臣, 南野 徹
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_179-S2_186
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    CRT-D植込み後,左室リード断線による心不全悪化をきたし,冠静脈狭窄のため異なる部位への再留置を余儀なくされた3症例を経験した.3例とも左室リードは単純牽引で用手的抜去可能であった.

    症例1:68歳女性.拡張型心筋症(DCM,EF=37%,QRS=132ms,NYHAⅢ),徐脈性心房細動,心室頻拍のためCRT-Dを植込み,NYHAⅡに改善した.植込み8年2月後に左室リード断線をきたした.後側壁側から側壁側への再留置となり,その後初回留置後より利尿剤の減量が可能となった.

    症例2:71歳男性.DCM(EF=32%,QRS=180ms,NYHAⅢ)のためCRT-Dを植込み,NYHAⅡに改善した.2年3か月後に左室リード断線をきたした.心室刺激閾値高値や横隔神経捕捉のため目標領域への留置が困難であり,中心静脈経由で後側壁側に再留置したが,心不全は改善せず術後54日目に死亡した.

    症例3:57歳女性.DCM(EF=17%,QRS=190ms,NYHAⅢ)のためCRT-Dを植込みNYHAⅡに改善した.4年7か月後に左室リード断線をきたした.前側壁側から前壁側への再留置となり,その後心不全が悪化した(NYHAⅢ).

    結語:左室リードの再留置時には,同部位への留置が困難となる可能性,他部位への留置によりCRTの効果が異なる可能性を考慮する必要がある.

  • 飯塚 貴士, 田村 峻太郎, 田村 未央, 飯島 貴史, 太田 昌樹, 入江 忠信, 齋藤 章宏, 中島 忠, 金古 善明, 倉林 正彦
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_187-S2_191
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は50歳男性.1年前から頻回に胸背部痛を伴う意識消失発作を認めていた.2015年某日,労作時に心肺停止となり,除細動2回で洞調律へ復帰し前医へ搬送.緊急冠動脈造影検査を施行したが,急性冠症候群をきたすような病変はなく,心電図上前胸部誘導にType 2ST上昇がみられたためBrugada症候群の疑いとして精査加療目的に当院へ転院とした.ピルジカイニド負荷試験でType 1ST上昇がみられたためBrugada症候群と診断した.アセチルコリン負荷試験では左前下行枝#7が局所的に95%の狭窄となった.有意な胸部症状もST変化も見られず検査としては冠攣縮狭心症の診断基準を満たさなかったが,BMIPP/MIBI心筋シンチグラフィ検査では冠攣縮による脂肪酸代謝障害が明らかとなった.電気生理学的検査では右室流出路からの3連期外刺激で心室細動が誘発され,ICD適応ClassⅠとして移植術を施行した.心肺停止の原因として冠攣縮も強く疑われたためニフェジピンの内服を開始として退院とし,その後ICDの作動や症状の再発は見られていない.Brugada症候群の心室細動の発症に冠攣縮が関与している可能性を示唆する稀有な症例であるため報告する.

  • 吉竹 貴克, 佐々木 毅, 合屋 雅彦, 潮平 親哉, 西村 卓郎, 白井 康大, 前田 真吾, 川端 美穂子, 笹野 哲郎, 平尾 見三
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_192
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は52歳,男性.以前から就寝時に脈の欠滞を自覚しており,2013年の健診心電図にて心室性期外収縮(PVC)を指摘された.近医のホルター心電図にて,下方軸,右脚ブロック型の単形性PVCを1日42042回認めたため,カテーテルアブレーション目的にて当科へ紹介入院となった.CARTO SOUND®を用いて前乳頭筋,後乳頭筋を含む左室のジオメトリーを作成した後にactivation mappingを施行したところ,QRSonsetより100msec先行する再早期興奮を前乳頭筋の腱索付着部に認め,同部位がPVCの起源と考えられた.再早期部位では安定したペースマップが困難であったが,前乳頭筋中部でのペースマップはPVCの波形と一致し同部位がPVCのexit siteと考えられた.前乳頭筋の腱索付着側から通電を開始し,複数回の通電にてPVCは消失し,以後PVCの出現は認めなかった.通電中に左脚前枝ブロックの出現を認めたが,アブレーション翌日には改善を認めた.CARTO SOUND®を用いることでPVCの起源の詳細を同定し得た左室前乳頭筋起源PVCの1例であり,文献的考察を踏まえて報告する.

  • 矢野 利明, 内藤 滋人, 鈴木 菜穂子, 大塚 佳満, 沓澤 大輔, 山口 由明, 清水 学, 千賀 通晴, 武 寛, 南 健太郎, 佐々 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_193-S2_202
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例:20歳女性.4年前に健康診断で心電図異常を認め,近医にて約30,000拍/日の心室性期外収縮を指摘された.左冠尖からの通電で心室性期外収縮は消失したが術後すぐに再発した.その後,動悸症状を認めるようになり,カテーテルアブレーション目的に当院に紹介となった.心室性期外収縮の波形は下方軸,左脚ブロックで胸部誘導の移行帯はV4にあり,下壁誘導におけるpeak deflection indexは0.68であった.左冠尖において心室性期外収縮に53ms先行するprepotentialを認め,高出力ペーシングを行うとperfect pace mapを示し,S-QRSは50msであった.同部位で平均contact force 18g,15Wで通電を行うと通電開始3.4秒で心室性期外収縮は消失した.心室性期外収縮消失後も同部位で高出力ペーシングを行うと,通電前と同様にperfect pace mapが得られ,S-QRSは50msであり,preferential pathwayを伝導すると考えられた.ペラパミルの投与ではS-QRSに変化を認めなかったが,シベンゾリンの投与でS-QRSは66msへと延長し,preferential pathwayへ影響を及ぼしたと考えられた.preferential pathwayはNaチャネルに感受性があり,作業心筋から構成される可能性を示すものと思われる.

  • 佐藤 舞, 山科 順裕, 鈴木 啓資, 小松 寿里, 佐藤 英二, 中川 孝, 佐藤 弘和, 三引 義明, 石田 明彦, 八木 哲夫
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_203-S2_208
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は68歳女性.基礎心疾患を認めなかった.2010年頃より動悸症状を自覚.2015年のホルター心電図にて左脚ブロック,下方軸タイプの心室性期外収縮(PVC)が46,000発と多発しており,こちらに対してカテーテルアブレーション(RFCA)を実施した.PVCの右室内最早期興奮部位はHis束記録部位に一致したが,同部でのペースマップスコアは不良(10/12)であった.左心系のマッピングでPVCの最早期興奮部位は無冠尖−左冠尖接合部に認め右室側より早かった.同部にて刺激‐QRS時間の延長を伴うパーフェクトペースマップが得られた.同部の通電直後にPVCは消失し,以降再発は認めていない.無冠尖起源のPVCは非常に稀で,さらに,本症例は過去の報告と一部異なる心臓電気生理学的特徴を示したため報告する.

  • 近藤 秀和, 篠原 徹二, 今村 貴亮, 髙野 正幸, 石井 悠海, 小深田 麻美, 原口 美帆, 大坪 豊和, 長野 徳子, 秋岡 秀文, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_209
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は65歳男性.突然死の家族歴はない.201X年1月に失神をきたした.同年7月X日早朝に3度の意識消失失神(15分程度)をきたし近医に救急搬送された.到着時,モニター心電図でST上昇および完全房室ブロックを認めた.冠動脈造影(エルゴノビン負荷試験)で右冠動脈に攣縮が誘発されたため,失神は冠攣縮によるものと判断された.Ca拮抗薬と硝酸薬を処方されたが,退院して再度失神したため当科を紹介され入院した.12誘導心電図で下側壁誘導にslur typeのJ波を認めた.EPSでVFは誘発されなかった.ピルジカイニド負荷でBrugada型変化は生じなかった.冠拡張剤内服下で冠攣縮誘発試験を行ったところ,右冠動脈に冠攣縮が誘発され下壁誘導にST上昇が惹起され,V1誘導でJ点が上昇し心室細動を生じた.除細動直後,右側胸部誘導(V1,V2)でcoved型ST上昇が顕在化した.心室細動発症にJ波(早期再分極所見)が関与したと考えられる興味深い症例であり報告する.ICDの適応についても言及したい.

  • 保坂 幸男, 池主 雅臣, 柏 麻美, 廣木 次郎, 土田 圭一, 木村 新平, 藤原 裕季, 中村 則人, 酒井 亮平, 西田 耕太, 高 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_210-S2_216
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    薬剤抵抗性の心室頻拍(VT)によるelectrical stormで再入院した心サルコイドーシス症例.カテーテルアブレーションは心内膜アプローチで行った.左室voltage mappingで前壁の広範囲と後壁の一部に低電位領域を同定した.プログラム電気刺激で興奮旋回を思わせるVT1と巣状興奮のVT2が誘発された.VT1(周期393ms)は左室側壁基部の低電位領域で拡張中期電位(MDP)が記録された.頻拍中のペーシングはMDPを捕捉してconcealed entrainmentの所見を呈した.同部への通電(30-45W)でVT1は直ちに停止した.VT2(周期402ms)の最早期興奮部位は左室側壁の低電位領域に同定された.頻拍中の局所ペーシングはmanifest fusionを呈し,同部位への通電(30-45W)は30秒の時間を要してVT2を停止させた.術後1年の経過でいずれのVTの再発も見られていない.心サルコイドーシスの病変は心外膜側から全層性に及ぶとされる.本例で心内膜側からの通電が有効であったのは,VT1の回路は心内膜心筋を含んでおり,VT2の回路は心内膜側に近い心筋層にあったためと思われる.

  • 柳澤 哲, 因田 恭也, 安藤 萌名美, 加藤 寛之, 藤井 亜弥, 伊藤 唯宏, 水谷 吉晶, 上久保 陽介, 神崎 泰範, 平井 真理, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_217-S2_223
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    57歳,男性.拡張型心筋症にて近医でフォローされていたが,心室頻拍(VT)にて入院し植込み型除細動器(ICD)の移植を行った.その後,ICD治療が頻回となり当院へ紹介され,VTに対して電気生理学的検査・カテーテルアブレーションを行った.左室心内膜アプローチから洞調律中に左心室内のマッピングを行うと,側壁側に遅延電位を認めた.続いてVTの誘発を行うと複数のVTが誘発された.このうち,血行動態が保たれたVT(右脚ブロック,上方軸型)に対して左室心内膜側からマッピングを行ったが頻拍回路の同定はできず,通電後もVTは停止しなかった.このため後日心外膜アプローチによる再セッションを施行した.心外膜側からのマッピングでは,左室側壁心外膜側の低電位領域を中心に広域に心室局所異常電位(LAVA)が認められた.誘発されたVTに対して,後側壁基部の低電位領域周囲の各所でconcealed entrainmentが得られた.さらにその下方に早期拡張期異常電位を認め,同部位でbumpしてVTは停止した.低電位領域を下方から上方へ緩徐伝導するVT回路を推察した.その後は血行動態不安定なVTが誘発されたため,低電領域内の緩徐伝導路に認められたLAVA電位を標的に焼灼を行った.退院後のフォローでは,1年以上VTの再発やICD作動は認めていない.非虚血性心疾患のVTに対して,心外膜側の必須緩徐伝導路を推測し,VT維持に関連するLAVAをターゲットにアブレーションを施行した.

  • 金城 貴彦, 堀内 大輔, 佐々木 真吾, 木村 正臣, 伊藤 太平, 石田 祐司, 小路 祥紘, 西崎 公貴, 奥村 謙
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_224-S2_235
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    55歳男性.亜急性広範前壁心筋梗塞後の難治性VT/VFに対し,前医で経皮的心肺補助装置が挿入された.転院後もVT/VFが再発し,左室形成術と広範囲cryoablationを施行した.心室補助人工心臓(VAS)管理下で術後3週目にICDを植込み,LVASおよび右心系PCPSを確立した.VFは抑制されたが,上方軸+右脚ブロック型VT(rate 153bpm)が持続し,高周波ablationを施行した.洞調律中に左室中隔のlow voltage area内でperfect pace mapが得られ,VT中には同部でconcealed entrainmentが得られた.同部への通電により頻拍周期延長後,VTは停止し誘発不能となった.VT/VFの再発なく経過していたが,ablationの約1か月後に大動脈破裂のため死亡した.高周波およびcryoablation後の剖検例を経験したため,組織所見を含め報告する.

  • 原 聡史, 大野 真紀, 黒田 俊介, 水上 暁, 鈴木 誠
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_23-S2_29
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は74歳,男性.大動脈弁狭窄症と狭心症への大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術後,下腿浮腫,易疲労感,心嚢液貯留が悪化し,また心房粗動が持続していた.Kussmaul徴候を認め,カテーテル検査で収縮性心膜炎と診断した.外科的心膜切開術を予定し,術前に心房粗動アブレーションを施行した.しかし,アブレーション後に洞性徐脈となり,心原性ショックに至った.心房粗動時は心拍数50-60台で,洞調律時は30-40台であった.カテコラミン投与後も循環不全が持続し,準緊急で心膜切開術を施行した.心房粗動が洞調律に復帰すると,atrial kickにより心拍出量は改善する.しかし収縮性心膜炎の場合,硬い心膜の制限で洞調律でも有効なatrial kickは得られず,心拍数低下が心原性ショックを起こしたと考えられた.手術が必要な重症患者では心拍数変化に細心の注意を要し,手術中に除細動で洞調律に復帰させ術後にアブレーションを行うほうが安全である.

  • 宗次 裕美, 河村 光晴, 小川 洸, 中村 友哉, 猪口 孝一郎, 越智 明徳, 川崎 志郎, 小貫 龍也, 箕浦 慶乃, 渡辺 則和, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_236
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    21歳男性,主訴は動悸.ホルター心電図で持続性心室頻拍(VT)を認めた.心電図,画像検査より不整脈源性右室心筋症(ARVC)と診断.入院時より,血行動態破綻のないVTが頻発し,薬剤抵抗性のため,心筋焼灼術施行.12誘導心電図で数種類のVTを認めた.心内膜側Bipolar電位で,三尖弁輪(TV)下側壁と右室流出路(RVOT)前壁中隔に障害心筋領域を認めた.TV-VTに対し,障害心筋領域の線状焼灼を施行.RVOTVTはmultiple automatic VTであり,各々のVTに対して局所電位の早期性を指標に障害心筋領域の広範な通電を施行.急性期のVT-stormを回避したが,1か月後に再度VT-stormとなった.TV-VTは認めないが,RVOT-VTの再発を認めた.1st session時の3 D-mappingの心内膜側Unipolar電位より心外膜側の障害心筋領域を推測し,2ndsessionを施行.推測された心外膜側の障害心筋境界域でtarget-VTと良好なpace mapが得られたため,pace mapと局所電位の先行度を指標にRVOT前壁中隔広域に焼灼術を施行した.その後VT再発は認めなかった.

    難治性ARVC-VTに対し,心内膜側Unipolar電位を指標とした心内膜側心筋焼灼術が奏功した症例を経験した.

  • 百瀬 裕一, 上田 明子, 長岡 身佳, 松下 紀子, 星田 京子, 三輪 陽介, 冨樫 郁子, 前田 明子, 佐藤 俊明, 吉野 秀朗, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_237-S2_243
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    ペースマッピング中Multiple exit site(MES)がみられ心室頻拍(VT)治療に成功した1例を報告する.

    虚血性心筋症,大動脈弁置換(AVR)術後の68歳男性.2013年VTに対するEPSを行い,右脚(RBBB)および左脚ブロック(LBBB)型の2種類の中隔起源のVTが誘発されたが,房室ブロックの危惧から完全には抑制しえなかった.両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRTD)を植込み経過観察したが,2015年よりVTに対する頻回作動を認め2回目のEPSを行った.右室は正常電位であったが,左室中隔に低電位領域(LVA)を認め,Double potentialやFractionateした異常電位が記録された.左室刺激により前回とほぼ同一のRBBB型VTが誘発された.またLVA内に,異なる刺激-QRS時間をもってRBBB型とLBBB型ペースマップ波形を示すMESが多数認められ, voltage channelではperfect pace matchを認めた.MESに近接するLVA内で,VT中QRSに70ms先行し,200ms程度の持続する連続電位が記録され,同部位の通電によりVTは停止した.さらに周囲のMESに通電を繰り返し,いかなるVTも誘発不能となり終了した.LVAは梗塞部位と一致せず,AVRによる基質と考えられた.

  • 北條 林太郎, 深水 誠二, 中田 晃裕, 河村 岩成, 森山 優一, 荒井 研, 北村 健, 青山 祐也, 小宮山 浩大, 西㟢 光弘, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_30-S2_35
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    背景:心房細動に対する肺静脈隔離術(PVI)が心拍変動(HRV)に影響を与えることが知られている.一方で,HRVへの影響がどの程度持続するかについて,一定の見解が得られていない.

    方法:発作性心房細動に対してPVIを施行し,当院にて術後Holter心電図の経過を見ることができた82例を対象とした.PVI後の再発の有無により再発(−)群(N=68)と再発(+)群(N=14)に分類した.自律神経の指標としてlow-frequency components(LF;0.04-0.15Hz),high-frequency components(HF;0.15-0.4 Hz)およびLF/(LF+HF)ratioを用いた.初回PVIから1-24か月後のHolter心電図を解析し,2群間でHRVの変化を比較した.

    結果:再発(−)群ではLF,LF/(HF+LF)でPVI後に有意な低下を認めたが,再発(+)群では認めなかった.PVI後1か月目のHRV指標と比較すると,再発(−)群ではLF,LF/(HF+LF)はPVI後6か月から(LF:171.1ms2 vs 196.2ms2,P =0.043,LF/(LF+HF):0.624 vs 0.668, P=0.0001),有意に上昇がみられ,その変化は2年後まで継続した.HFでは変化はみられなかった.一方,再発(+)群ではこれらの指標に有意な変化はみられなかった.

    結語:PVI後に再発を認めない群ではよりHRVの変化が大きい可能性が示唆された.

  • 湯澤 ひとみ, 藤野 紀之, 篠原 正哉, 小池 秀樹, 鈴木 健也, 福永 俊二, 小林 建三郎, 池田 隆徳
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_36-S2_42
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は63歳の女性.2009年より呼吸困難が出現し,その原因として心房中隔欠損症(ASD)が考えられた.2011年(当時59歳)に症状が悪化し二次孔欠損型ASDであったため,外科手術ではなくカテーテル治療のAMPLATZERTM Septal Occluderを用いた閉鎖術が行われた.以後自覚症状なく良好に経過していたが,2014年頃より動悸を自覚するようになり,近医で心房細動(AF)の診断を受けた.その後も月1回以上発作が出現したため,2015年に心房細動アブレーション(肺静脈隔離術:PVI)が施行された.肺動脈造影にて左房・肺静脈の解剖学的位置関係を確認し,心腔内エコー(AcuNav)下にAMPLATZERTMの後方下縁卵円窩を狙い,心房中隔穿刺に成功した.1回穿刺,2シースにて型通り両側PVIを行った.最後に,肺動脈造影を再度行い,僅かな左右シャントを確認し終了とした.本邦ではAFを合併したAMPLATZERTM留置症例に対する心房中隔穿刺の報告は少なく,安全にPVIを施行しその後の経過も良好のため報告する.

  • 山嵜 継敬, 竹中 創, 村瀬 達彦, 上野 明彦, 佐々木 法常, 高橋 英雄, 齋藤 直樹, 津田 泰任, 羽鳥 慶, 伊藤 賀敏, 福 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_43-S2_48
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    近年,持続性心房細動(PerAF:persistent atrial fibrillation)に対する低電位領域(low voltage zone:LVZ)アブレーションの有効性が報告されている.今回我々は電気的除細動(DC)抵抗性PerAFに対するLVZを標的とした線状焼灼の有効性について検討した.

    対象は肺静脈隔離術(pulmonary vein isolation:PVI)および左房天蓋部線状焼灼後もDCにて洞調律に復さなかった14症例(男性12例,平均年齢67±7.0歳).Ensite NavXTM(St. Jude Medical, St Paul, MN, USA)にてAF下にvoltage mapを作成しLVZ(≦0.3mV)を評価.LVZが多く分布する部位に対して線状焼灼を施行した.線状焼灼施行部位は左房前壁7例,左房後壁4例,僧帽弁峡部3例であった.線状焼灼後に施行したDCにて全症例洞調律に復した.6か月後の非再発率は前壁線状焼灼部群で6例(86%),僧帽弁峡部2例(50%),左房後壁1例(33%)であった.

    LVZに対する線状焼灼はDC抵抗性PerAFに対して有効と考えられた.

  • 田中 宣暁, 田中 耕史, 豊島 優子, 岡 崇史, 岡田 真人, 井上 裕之, 中丸 遼, 井上 耕一
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_49-S2_53
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は,63歳男性.3か月前に初めて指摘された持続性心房細動(AF)に対して,カテーテルアブレーション(RFCA)を行った.術前のCTで,左上肺静脈(LSPV)がMarshall Vein遠位部に開口する部分肺静脈還流異常症が判明.術中,ISP負荷を行ってもLSPVよりPACを認めなかったため,左下肺静脈,右肺静脈に対してのみ肺静脈隔離術を行った.しかし,術後も発作性AFを認めたため,2回目のRFCAを施行.ISP負荷により,AFへ移行.電気的除細動(DC)を行い洞調律化するも,すぐにAFへ移行する現象(IRAF)を繰り返し認めた.LSPVにスパイラルカテーテルを留置してDCで洞調律化させると,LSPV起源のPACからAFへ移行する現象が確認された.LSPV隔離により,洞調律が維持できた.Marshall Veinに開口する肺静脈がAFのtriggerを有していた稀な症例であり,ここに報告する.

  • 川口 直彦, 山内 康照, 青柳 秀史, 中村 知史, 山下 光美, 後藤 健太朗, 土屋 勇輔, 浅野 充寿, 志村 吏左, 鈴木 秀俊, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_5
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は74歳男性.2015年5月に発作性心房細動,徐脈頻脈症候群に対してペースメーカー植込み術を施行,その後,僧帽弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症,心房細動に対して僧帽弁形成術,三尖弁形成術および外科的肺静脈隔離術も施行された.退院後,持続性心房頻拍(AT)を認めるようになり,それに伴う頻脈依存性心不全を発症し入院加療を行った.今回,AT根治目的にて当院に紹介となりカテーテル心筋焼灼術を行った.AT周期は260msで,P波はV1,Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導で陽性を呈していた.3D mappingにてActivation mapを作成すると,興奮は僧帽弁輪を反時計方向に旋回していた.また冠静脈洞遠位,近位,および僧帽弁輪前壁の3カ所においてpostpacing intervalはほぼ頻拍周期に一致し,peri-mitral ATと診断した.冠静脈洞造影でMarshall静脈を認めたためまず化学的アブレーションを施行,無水エタノールを5 ml注入中にATは停止した.化学的アブレーション終了後,僧帽弁輪峡部にてdifferential pacingを行ったところ,両方向性の峡部伝導ブロックラインがすでに完成していた.Marshall静脈への化学的アブレーションのみでperi-mitral ATの治療が完結した稀な症例であり,若干の文献的考察を含め報告する.

  • 金城 太貴, 大塚 崇之, 有田 卓人, 八木 直治, 鈴木 信也, 相良 耕一, 山下 武志
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_54-S2_62
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は76歳男性,6か月前に低左心機能を伴う初発のうっ血性心不全と頻脈性心房細動で当院に紹介.拡張相肥大型心筋症による心不全が疑われた.入院中のモニターで洞停止を認め薬物治療は困難と判断し,発作性心房粗細動に対して5か月後に肺静脈隔離術を施行.肺静脈隔離術後の心臓電気生理検査でHV 101msの著明な延長を認めた.上室刺激で頻拍周期(CL)432msで洞調律時と同じQRS波形の頻拍①が誘発されたが,CLの変化なく右脚ブロック型・上方軸のwide QRS tachycardia(頻拍①’)となった.頻拍①’は心房からconcealed entrainmentが可能であり,変行伝導を伴う心房頻拍と考えられた.また,心室刺激でCL 360msの右脚ブロック型・上方軸wide QRS tachycardia(頻拍②)も認めた.頻拍②は房室解離を伴い心室頻拍と診断され,ベラパミル静注で停止可能であった.多様な頻拍および伝導障害を認めたため,再度の心精査(心筋生検)を行ったところ心アミロイドーシスと診断され,CRT-D留置後経過観察中である.心アミロイドーシスに多様な不整脈を合併した報告は稀であり,貴重な症例と考え報告する.

  • 高橋 啓子, 奥村 恭男, 永嶋 孝一, 園田 和正, 古川 力丈, 佐々木 直子, 磯 一貴, 黒川 早矢香, 大久保 公恵, 中井 俊子 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_6-S2_14
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は41歳男性.B型WPW症候群に伴うwide QRS頻拍に対し,電気生理学的検査を施行した.心室連続刺激中の心房最早期興奮部位はHis束電位記録部位であったが,心室早期刺激で左側後壁副伝導路の存在が示唆された.心室早期刺激でclinical wide QRS頻拍(SVT1)が誘発され,右側側壁副伝導路を順行,房室結節を逆行する逆行性房室回帰性頻拍と診断した.SVT1は室房伝導時間が短縮し,His束電位が心室(V)波に重なるSVT2へと変化した.その間,His –心房(A)波間隔は一定であったことからSVT1の室房伝導は機能的右脚ブロックであったのに対し,SVT2ではそれが解除されたと考えられた.さらにその後の心室早期刺激でwide QRS頻拍SVT3が出現し,これは室房伝導の順序は変化しないまま,narrow QRS頻拍SVT4に変化した.これらは房室結節を順行,左房後壁副伝導路を逆行する順行性房室回帰性頻拍と診断した.wideからnarrowへの変化はCoumel現象による左脚ブロックが解除されたためと考えられた.さらに副伝導路間を旋回するSVT5と,通常型slow-fast房室結節回帰性頻拍(SVT6)も誘発された.以上より,順伝導のみの右側副伝導路,潜在性左側副伝導路,房室結節遅伝導路を焼灼し終了した.

  • 橋口 直貴, 小竹 康仁, 赤岩 譲, 安岡 良文, 元木 康一郎, 栗田 隆志, 宮崎 俊一
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_64
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    55歳男性.2015年4月,健診で心房細動を指摘され前医を受診した.抗凝固療法を開始し,電気的除細動により洞調律となるもシベンゾリン内服下での再発を認め,アブレーション目的で当院紹介受診となった.

    術前CTにて左肺動脈本幹は欠損しており,左肺は縮小していた.左肺動脈末梢は左冠動脈回旋枝からの側副血行路により還流されていた.左右上下肺静脈は存在していたが,左下肺静脈は小さく,右上下肺静脈の拡張が顕著であった(右上:31.1×15.8mm,右下:30.3×17.7mm,左上16.5×11.8mm,左下9.2×11.0mm).

    リング状カテーテルを挿入すると各肺静脈には肺静脈電位が認められた.カテーテル開始時は洞調律であったためイソプロテレノールを投与したところ,右上下肺静脈起源の期外収縮が再現性をもって出現し,同肺静脈に不整脈源性があると考えられた.高頻度ペーシングでは通常型心房粗動のみが誘発された.アブレーションは,CARTOガイド下に通常通りの拡大肺静脈隔離と三尖弁-下大静脈間線状焼灼を行った.合併症なく手技を終了し,以後頻拍の再発を認めていない.容量負荷により拡張した右肺静脈に不整脈基質が形成された興味ある1例と考えられた.

  • 谷川 真一, 徳田 道史, 松尾 征一郎, 宇野 剛輝, 徳竹 賢一, 横山 賢一, 鳴井 亮介, 日置 美香, 山下 省吾, 吉村 道博, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_65
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は,61歳男性.2012年10月より動悸を認め,近医で心房細動と診断された.2013年11月心房細動に対して,初回カテーテルアブレーションを施行したが,術後再発を認め,2015年6月2回目のアブレーションを施行することとなった.左上肺静脈,右上肺静脈,左下肺静脈に再伝導を認め,再隔離を施行した.術前に施行した心臓造影CTおよび術中の左房肺静脈造影で左房天蓋静脈の存在が確認され,同静脈内に留置した15mm径のリング状電極カテーテルにて静脈内から発生する巣状興奮(firing)を認めた.同静脈入口部の最早期興奮部位で高周波通電を施行したところ,局所電位は消失し,その後は心房細動が誘発不能となった.左房天蓋静脈に不整脈源性を有し,電位指標隔離に成功した稀有な症例を経験したため報告する.

  • 高野 誠, 原田 智雄, 中山 由衣, 高木 泰, 山田 麻里可, 中野 恵美, 中島 育太郎, 松田 央郎, 西尾 智, 古川 俊行, 宮 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_66-S2_72
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は22歳女性.2013年冬に感冒症状と意識障害で緊急入院となった.入院後モニター心電図において多形性心室頻拍(TdP),心室細動(VF)を認め,電気的除細動を繰り返した.電気的除細動後,12誘導心電図では補正QT間隔(QTc)650msecのQT延長と心エコー図において左室駆出率(EF)30%と低心機能を認め,心筋炎からのQT延長,TdPを考えた.循環動態不安定であったために大動脈バルーンパンピング(IABP)を挿入し,心臓カテーテル検査を行った.冠動脈造影では,有意狭窄は認めず,右室生検を行い,人工呼吸器管理のもとCCUへ入室となった.右室生検の結果から心筋への炎症細胞浸潤と間質の浮腫性変化を認めた.入院後経過と共に心機能の回復を認め,第3病日にはIAPBを離脱,第6病日に抜管した.第32病日にQTc450msec,EF55%まで改善を認め,心筋炎後の2次性QT延長と考え,カルベジロールの内服で軽快退院された.外来で先天性QT延長症候群(LQT)の鑑別のため遺伝子検査を行った.遺伝子検査では,LQT5(KCNE1)の遺伝子多型を認めた.定期外来中に若年女性であることから,妊娠も考慮し薬剤を減量し,2015年2月に薬剤を中止した.その後外来経過観察中に失神があり,来院された.来院後TdPからVFとなり,電気的除細動を要した.心電図においてQTc680msecのQT延長を認め,一時的ペーシングによる加療を行った.同入院ではEF60%と保たれており,先天性LQTと診断した.薬剤の再開と植込み型除細動器植込み術を行い,退院された.今回我々は,心筋炎に伴う2次性LQTと先天性LQTの鑑別に苦慮した1例を経験した.

  • 小澤 真人, 小松 隆, 芳沢 礼佑, 松本 裕樹, 椚田 房紀, 森野 禎浩, 中村 元行
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_73-S2_79
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は75歳女性.アトピー性咳嗽の診断で呼吸器科通院中であった.2014年12月,定期診察時に頻脈を指摘され当科紹介となった.標準12誘導心電図では脈拍130bpmのlong RP’ narrow QRS頻拍を認めた.β遮断薬内服で経過観察となったが,徐々に労作時易疲労感を自覚するようになり,カテーテルアブレーションの方針で入院となった.カテーテル留置の刺激で頻拍は容易に誘発されるが,それぞれ頻拍周期に変動が認められた.プログラム刺激でも頻拍が容易に誘発されるため,頻拍のCARTO Activation mapを作成したところ,三尖弁輪後側壁側のfocal patternを示し,少量ATP静注で再現性を持って停止が確認された.頻拍時に同部位で通電すると通電直後に頻拍は停止し,以後誘発不能となった.右房起源の心房頻拍として比較的稀な部位での症例を経験したので,若干の文献学的考察を加えて報告する.

  • 鈴木 紅, 春成 智彦, 金子 雅一, 油井 慶晃, 平野 仁士, 佐々 達郎, 大橋 浩一, 立石 和也, 黒木 識敬, 弓場 隆生, 安 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_80-S2_85
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は51歳女性.心拍数185/分のnarrow QRS regular tachycardiaで救急外来を受診,ベラパミル静注で洞調律に復帰した.電気生理検査ではKent束伝導を認めず,房室結節リエントリー性頻拍も誘発不可能であった.イソプロテレノール投与下の心房頻回刺激で心拍数150/分前後の上室性頻拍が誘発された.この頻拍はウエンケバッハブロックを伴って持続し,十二誘導心電図のP波形からは,臨床的な頻拍で矛盾しなかった.またこのP波形は洞調律のP波形とほぼ同様であった.さらに頻拍はカテ刺激で容易に停止した.以上より洞結節リエントリー性頻拍と診断した.CARTO3®システムを使用,PentaRay®を用いて洞調律中と頻拍中のactivation mapを作成した.頻拍の最早期興奮部位は右房後側壁で,洞調律中のそれの約15mm後方に認められた.頻拍中にその最早期興奮部位で通電を施行,1秒以内に頻拍は停止し以後誘発不可能であった.洞調律中の通電においては次第に心拍数が上昇する所見が得られた.PentaRay®の使用は最早期興奮部位の同定とアブレーションを容易にしたと考えられた.

  • 川﨑 真佐登, 古川 善郎, 山田 貴久, 森田 孝, 玉置 俊介, 岩崎 祐介, 菊池 篤志, 近藤 匠巳, 石見 成史, 伯井 秀行, ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_86
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    背景:一般的に逆伝導P波は下壁誘導で陰性波を形成する.Waldoらは前結節間伝導路を素早く興奮する症例ではこれが陽性となることを開心術中の症例で示したが,臨床例での報告は限られる.

    症例は46歳女性.動悸を主訴に来院した.電気生理学的検査の結果,通常型心房粗動と房室結節回帰性頻拍が誘発された.房室結節回帰性頻拍中の下壁誘導におけるP波極性は,三尖弁下大静脈間峡部線状焼灼前後で陰性から“陽性”に変化した.

    考察:三尖弁下大静脈間峡部の線状焼灼,すなわち後結節間伝導路の離断により房室結節回帰性頻拍中の逆伝導P波は“陽転化”した.これはWaldoらの仮説を支持している.発作性上室性頻拍の鑑別においてこの知見は,より正確な術前診断に資すると思われる.

    結語:逆伝導陰性P波が三尖弁下大静脈間峡部線状焼灼により“陽性化”した房室結節回帰性頻拍の1例を経験したのでこれを報告する.

  • 髙見 充, 藤原 竜童, 中野 慎介, 藤本 大地, 木島 洋一, 政野 智也, 名越 良治, 上月 周, 柴田 浩遵, 竹重 遼, 福山 ...
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_87-S2_94
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は28歳男性.Ⅱ・Ⅲ・aVfで陰性のP波を呈するlong RP tachycardiaを認めた.右心室ペーシングで最早期興奮部位は冠静脈洞(CS)入口部であり減衰伝導特性を有した.頻拍は容易に誘発され,AH<HAを呈し心房最早期興奮部位はCS入口部であり頻拍中の心房シーケンスは心室ペーシング時の逆伝導と同じであった.傍His束ペーシングでは房室結節パターンを認め,頻拍中の右心室からのentrainment pacingではVAV patternを呈し,Fast-Slow AVNRTと診断した.

    CARTO mappingでは頻拍中の最早期心房興奮部位はCS入口部より僅かに前方に認め,右心室ペーシング中の心房最早期興奮部位と一致していた.

    同部位での通電にて頻拍停止したが,すぐに逆伝導遅伝導路の再発を認め頻拍も誘発された.頻拍中に再度マッピングを行ったところ最早期心房興奮部位は最初の通電部位よりも弁輪側にシフトしており追加通電にて逆伝導遅伝導路は消失し頻拍も誘発不能となった.しかしその後頻拍再発を認め再度のマッピングにて最早期部位はさらに前方の三尖弁輪心室側にシフトしていることが明らかとなった.同部位への追加通電後,頻拍は誘発されなくなったが,逆伝導遅伝導路は残存したためマッピングしたところCS入口部から25mm離れたCS内遠位部が最早期心房興奮部位に変化していた.CS内での通電にてこの逆伝導遅伝導路の離断を試みたが完全消失には至らなかった.頻拍中の最早期心房興奮部位の変化,Fast-Slow AVNRTのアブレーションのエンドポイントなどについて示唆に富む症例と考えられ報告する.

  • 佐藤 高栄, 大西 哲, 勝然 進, 豊田 真之, 梅井 正彦, 横山 正明, 岸 幹夫, 亀田 良, 松下 匡史郎, 山崎 正雄
    2016 年48 巻SUPPL.2 号 p. S2_95-S2_100
    発行日: 2016/12/30
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル フリー

    症例は75歳男性.特記すべき既往歴はない.近医で心房粗動,心不全の診断を受け治療目的に当科に紹介された.初診時は粗動周期260msの非通常型心房粗動とうっ血性心不全を認め,抗凝固療法導入の後に心臓電気生理検査を行った.右房内のマッピングでは心房中隔が最早期で左房からの受動的な興奮と考えられた.左房内をマッピングすると,3Dマッピング上で興奮は左房後壁の瘢痕を中心に左房後壁を上から下に右肺静脈後壁側を上から下に旋回する回路が確認され,バイスタンダーと思われる右肺静脈および左肺静脈周囲を旋回する興奮が認められた.右肺静脈後壁のpre-potentialとconcealed entrainmentを認める部位で通電すると頻拍周期は延長し,さらにpre-potentialの先行する頻拍回路の上流と考えられる部位で頻拍は停止して,以降は一切の頻拍は誘発不能となった.興味ある左房内興奮様式を認めた頻拍であり報告する.

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