2017 年 49 巻 10 号 p. 1095
心不全患者における陽圧呼吸療法は,肺うっ血のある症例において,肺うっ血の解除や心拍出量の上昇に寄与する.一方,肺うっ血の少ない症例においては,低心拍出のリスクも存在するため,慢性心不全における継続使用に際して注意が必要であろう.一方,心不全における心腎連関の概念は広く普及している.睡眠呼吸障害は心機能および腎機能の低下にも関係する全身疾患と考えられ,心不全患者に高率に合併している.慢性心不全患者における陽圧呼吸療法は悪化した心腎連関を包括的に改善しうる可能性がある.
今回,睡眠呼吸障害を合併した慢性心不全に対するASVによる血行動態への影響,心腎機能改善効果を中心にお話しさせて頂きます.