2017 年 49 巻 5 号 p. 455-461
背景:院外心停止の初期波形はショック適応波形[VF/pulseless VT]とショック非適応波形[PEA/asystole]に分類される.初期波形がショック適応波形の院外心原性心停止症例において積極的な体外循環式心肺蘇生(Extracorporeal cardiopulmonary resuscitation:ECPR)の導入は転帰を改善する報告がある一方,初期波形がショック非適応波形におけるECPR適応については確立したエビデンスはない.そこで今回われわれは院外心停止におけるECPR症例についてショック非適応波形に着目し,その特徴を検討した.
方法:2011年4月から2014年3月までに東京都立多摩総合医療センターにてECPRを施行した内因性の院外心停止23例について後ろ向きに観察し特徴と転帰を検討した.
結果:対象は23例であり,22例(96%)に目撃があり,初期波形はショック適応波形16例,ショック非適応波形7例(PEA 4例,asystole 3例)であった.28日後生存例は8例(35%),神経学的転帰良好群は4例(17%)であった.神経学的転帰良好群のうち3例は目撃があり初期波形PEAで原因疾患が肺塞栓症の症例で,いずれも二次蘇生処置中に一時的な自己心拍再開を認めた症例であった.
結論:内因性の院外心停止症例において,初期波形がショック非適応波形であっても,目撃があり二次蘇生処置中に一時的に自己心拍再開が得られた症例については,心停止の原因として肺塞栓症の可能性を考慮すべきである.これらの症例にECPRがなされた場合,良好な神経学的転帰が期待できる可能性が考えられた.