2017 年 49 巻 8 号 p. 864-867
症例は70歳,女性.27歳時にリウマチ性僧帽弁狭窄症に対し生体弁による僧帽弁置換術,41歳時に生体弁機能不全に対し再僧帽弁置換術(29mm Bjork-Shiley弁),63歳時に弁周囲逆流(paravalvular leakage;PVL)による溶血性貧血および大動脈弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症に対し再々僧帽弁置換術(25 mm ATS弁),大動脈弁置換術(16 mm ATS-AP弁),三尖弁形成術(De Vega法)の既往あり.3回目の僧帽弁置換7年後に,労作時呼吸困難の出現と溶血性貧血の進行を認め,精査にて僧帽弁後尖側のPVLと診断され,4回目の胸骨正中切開による開心術を行った.手術は弁周囲逆流が限局性であったため直接閉鎖+ePTFEパッチを用いた二重閉鎖術を施行した.術後弁周囲逆流は消失し溶血性貧血は改善した.