心臓
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第29回 心臓性急死研究会
診断に苦慮した初発心室細動の1例
澤紙 秀太広畑 敦松本 健佑久保 元基林田 晃寛大原 美奈子伴場 主一山本 桂三大江 透
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2017 年 49 巻 SUPPL.1 号 p. S1_85-S1_91

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抄録

51歳,男性.20XX年1月,深夜2時より同僚と飲酒,午前6時30分頃より意識が朦朧としているとのことで7時6分に救急車要請となった.到着時心室細動を認めたため除細動施行するが,心静止となった.その後心肺蘇生を継続し,7時38分に心拍再開となった.緊急CAGでは冠動脈狭窄は認めなかったが,右冠動脈は左バルサルバ洞から起始していた.第4病日には人工呼吸器離脱し,高次機能障害は認めなかった.第26病日にICD植え込み術を施行した.サンリズム負荷試験ではV1〜3誘導でcoved型のST上昇を認め陽性と診断.また,アセチルコリン負荷試験では多枝攣縮とともに強い胸部圧迫感を認めこちらも陽性と診断した.さらにTl,BMIPP心筋シンチでは下壁領域に若干のミスマッチを認めるが非特異的変化ともとれる程度の変化であった.以上より,原疾患の診断に苦慮した初発心室細動の1例を経験したので報告する.

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