心臓
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[臨床研究]
急性冠症候群における急性期の糖代謝異常にはインスリン分泌能の低下が関係してい
市川 啓之櫻木 悟藤原 敬士西原 大裕辻 真弘横濱 ふみ谷本 匡史大塚 寛昭山本 和彦川本 健治田中屋 真智子片山 祐介
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2018 年 50 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

 背景:急性冠症候群(ACS)の急性期には,糖代謝異常を認めることが多い.本研究ではACSの急性期に糖負荷試験を行い,糖代謝異常の経時的変化とその機序について検討した.

 方法:対象は,ACSで当院に入院した患者のうち,糖尿病既往がなく,心不全などの合併症のない26名.急性期と亜急性期に75 gOGTTを施行し,インスリン分泌能および抵抗性の経時的変化を調査した.

 結果:急性期には糖尿病型の割合が46%と多く存在したが,亜急性期には15%に低下した.急性期から亜急性期にかけて,Insulinogenic indexは有意に上昇した(0.50±0.46 vs 0.91±0.78,p=0.003).一方,HOMA-IRには変化がみられなかった.

 結論:ACS患者では糖代謝異常が多く存在し,その原因として,インスリン抵抗性よりもインスリン分泌能の低下が大きく関与していると考えられた.

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© 2018 公益財団法人 日本心臓財団
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