心臓
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[症例]
抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎に合併した非虚血性心不全の1例
片平 正隆横川 哲朗三浦 俊輔中村 裕一鈴木 聡及川 雅啓喜古 雄一郎西野 一三竹石 恭知
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2018 年 50 巻 10 号 p. 1138-1144

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抄録

 52歳女性.2016年夏から倦怠感を自覚.同年11月に当院を受診.胸部X線で心拡大,血液検査でBNP 678 pg/mLと上昇,心エコー図検査で左室駆出率31%と心機能低下を認め,冠動脈CTで冠動脈に有意狭窄はなく,非虚血性心不全と診断され,外来にて薬物治療を開始した.CK 1278 IU/L,CK-MB 46 IU/Lの上昇を認めたが,明らかな筋力低下はなく,投薬による横紋筋融解症の疑いで,被疑薬中止で経過観察とした.半年後の心エコー図検査で左室駆出率50%と心機能は改善し,心不全症状も消失した.しかし,被疑薬中止後も血中CK高値遷延,トロポニンI持続陽性を認めていたため,神経内科へ紹介とした.血液検査で抗ミトコンドリア抗体陽性が判明.骨格筋生検と心筋生検が施行され,抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎と診断した.ステロイドの投薬が開始となり,CK値とトロポニンI値は低下した.抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎に合併した非虚血性心不全を報告する.

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