心臓
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[症例]
JAK2 遺伝子変異を伴う本態性血小板血症を背景に肺塞栓症を発症した1例
松本 和久山本 隆小笠原 梢近藤 絵里長地 尚子河野 和弘角谷 昭佳
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2018 年 50 巻 11 号 p. 1235-1242

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抄録

 症例は80歳の女性.突然呼吸困難が出現し,近医で低酸素血症を指摘され,精査・加療目的に紹介された.低酸素血症の原因は肺塞栓症であったが,JAK2遺伝子変異を伴う本態性血小板血症が認められた.JAK2遺伝子変異のある本態性血小板血症では,静脈血栓症の発症頻度が高いことが報告されている.本症例では,静脈血栓症の原因となる凝固系の血栓性素因や悪性疾患は認められず,JAK2遺伝子変異を伴う本態性血小板血症が肺塞栓症の発症に関与したと判断した.急性期は抗凝固療法を併用したが,肺動脈内の血栓が消失後は,本態性血小板血症に対してハイドロキシウレアによる骨髄抑制療法と抗血栓薬として低用量アスピリンの投与を継続した.肺塞栓症のリスクのあるJAK2遺伝子変異についての文献的考察も加え報告する.

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© 2018 公益財団法人 日本心臓財団
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