2018 年 50 巻 11 号 p. 1256-1261
乳頭状線維弾性腫はすべての心内膜より発生する可能性があるが,弁の弁腹に発生するものが多い.今回我々は,乳頭状線維弾性腫が左心室乳頭筋に発生した症例を2例経験したので報告する.
両症例とも68歳で,男性1例,女性1例.両症例ともに,収縮期雑音の精査の心エコー検査で左心室内の腫瘤を指摘され,可動性を有するため,手術を行い摘出した.両症例ともに左心室乳頭筋より発生し,病理組織検査では,短い茎を有し絨毛状葉状体を放射状に伸ばした構造を認め,乳頭状線維弾性腫の診断であった.
心室内の腫瘤性病変を認めた場合,乳頭状線維弾性腫も鑑別疾患とする必要があると考えられた.