心臓
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[症例]
心筋梗塞後心室中隔穿孔に対する補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA®)使用の経験
児島 昭徳大橋 壯樹大城 規和只腰 雅夫小谷 典子景山 聡一郎青山 英和亀谷 良介安藤 みゆき田中 昭光
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2019 年 51 巻 8 号 p. 848-854

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抄録

 症例は呼吸困難を主訴とする85歳の女性で近医より当院緊急搬送となった.右冠動脈後下行枝の閉塞による急性心筋梗塞後の後壁心室中隔穿孔と診断し,心不全に対し人工呼吸,強心薬での治療を開始したが,肺うっ血,尿量減少を認めた.そのためIMPELLA 2.5を挿入し,これにより血圧の上昇と尿量の流出を認め呼吸循環動態は安定した.その後心筋梗塞発症推定2週間後,IMPELLA導入6日後に手術を行った.経右室にて後壁基部よりの4 cmの心室中隔穿孔をパッチにて閉鎖し同時にIMPELLAを抜去した.術後2日後に抜管しその後の経過は良好でリハビリを行い2カ月後に退院となった.術後3カ月後に大腸がんに対して腹腔鏡下S状結腸切除術を行い,その後の経過も良好で近医にて外来通院中である.心筋梗塞後心室中隔穿孔に対しIMPELLAを使用し循環動態の改善と維持が可能となりその後待機的にパッチ閉鎖を行い救命し得た症例を経験した.

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© 2019 公益財団法人 日本心臓財団
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