2019 年 51 巻 9 号 p. 932-938
症例はブラジルから移住した64歳男性.20XX年秋に心窩部不快感が出現し,持続性心室頻拍とうっ血性心不全症状を呈し,同日前医へ入院となった.著明な左心機能低下を認めるが,病因は不明であった.入院による心不全への加療により心室頻拍の再燃もなく退院したが,20XX年冬にうっ血性心不全の再燃で再入院となった.心不全は代償したが,心室頻拍と洞停止を繰り返すため当院に転院となり,薬物治療と除細動機能付き両心室ペースメーカ植込み術を施行した.ブラジルでの生活歴が長いためシャーガス病を疑い,イムノクロマト法,ELISA法による原虫の抗体確認をし,診断に至った.その後著明な心機能低下の原因としてシャーガス病の確定診断が得られた.当院への入院後は心不全や不整脈の再燃なく退院となった.