心臓
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[症例]
肝静脈から肺動脈にかけて迷入した皮下埋没型中心静脈カテーテル断裂を経カテーテル的に摘出した1例
甲谷 次郎夏井 宏征勝山 亮一徳原 教小野 太祐斎藤 高彦
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2020 年 52 巻 10 号 p. 1169-1173

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抄録

 症例は59歳女性.47歳時に右乳がん化学療法目的に左鎖骨下静脈より皮下埋没型中心静脈カテーテル(埋没型CVカテーテル)を留置.56歳時に滴下不良が認められたため,抜去を試みたところ,本体は抜去可能であったが,カテーテル部分が離断,遺残していたため,経カテーテル的に遺残カテーテル抜去を行い,その後に右鎖骨下静脈より新規CVカテーテル留置が行われた.59歳時に再度,滴下不良となり,胸部単純X線写真でカテーテルが断裂し肝静脈から肺動脈にかけて迷入し止まっている所見を認めたため,経カテーテル的な遺残カテーテル摘出術目的に当院紹介となった.両側大腿静脈に8 Frシースを挿入し,4 Fr JL-1.0カテーテルと0.035インチガイドワイヤーのループを右房内で形成し,そのループ内に遺残カテーテルを確保した.JL-1.0よりガイドワイヤーを進め,その断端をグースネックスネアカテーテルで捕捉した.ループで遺残カテーテルの中央部を捉え,下大静脈方向に引き込み,肺動脈側の断端を右房内に引き込んだ.肝静脈断端側は抵抗を認めたため,右内頸静脈より8 Frシースを挿入し,右房内から遺残リード断端をスネアカテーテルで捕捉し上方に引き込むことによって肝静脈側断端は下大静脈に移動した.下大静脈内の断端を下方からスネアカテーテルで捕捉し体外へ回収した.若干の文献的考察を交えて報告する.

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