心臓
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[症例]
神経性食思不振症を発症し心房粗動を合併した成人先天性心疾患の1例
櫻井 史紀岩島 覚早野 聡佐藤 慶介芳本 潤
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2020 年 52 巻 2 号 p. 181-187

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抄録

 成人先天性心疾患に神経性食指不振症を合併し経過中に心房粗動(atrial flutter;AFL)を発症した19歳女性を経験した.症例は生後に心雑音に気づかれventricular septal defect(VSD perimenbranous type),pulmonic stenosis(PS, valvular and subvalvular stenosis)と診断.3歳3カ月時に人工心肺管理下にVSD閉鎖術,右室流出路形成術施行.術後経過は良好であったが,16歳頃より神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)と診断され,その頃より動悸を自覚,入浴後に突然動悸が持続し救急外来受診,AFLが疑われたが,不整脈治療準備中に自然頓挫し動悸の症状も消失した.不整脈発症前の心臓MRI検査で右房右心系の拡大とpulmonary regurgitation fraction 39.8%を認め,ANの治療が長期に及ぶ可能性があったため心臓電気生理学検査を施行,三尖弁輪を反時計方向に旋回する頻拍が誘発されAFLと診断,アブレーション療法施行.その後の経過は良好であった.成人先天性心疾患症例では経年的に不整脈を合併するリスクがあるがAN等,不整脈を合併しやすい病態を合併した場合,さらに不整脈発症のリスクが高まる可能性があるため注意深い観察が必要と思われた.

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