心臓
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[症例]
異なる治療法を選択したPaget-Schroetter症候群の2症例
住吉 啓伸吉岡 賢二三島 修治廣木 次郎竜 彰黒田 俊介岩塚 良太植島 大輔水上 暁林 達哉木村 茂樹松村 昭彦
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2020 年 52 巻 3 号 p. 344-350

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抄録

 Paget-Schroetter症候群は特発性鎖骨下静脈血栓症および付随する静脈性胸郭出口症候群を特徴とした疾患である.当院で異なる治療方針を選択した2例のPaget-Schroetter症候群を経験した.2例ともに右鎖骨下静脈の血栓閉塞に伴う右上腕の浮腫および肺血栓塞栓症を認め,1例は患者の意思から直接経口抗凝固薬による保存加療を選択し,もう1例は右第一肋骨部分切除術,右鎖骨下静脈内血栓摘除術,右鎖骨下静脈形成術を施行した.両症例とも治療後経過は良好である.本疾患はワルファリンによる抗凝固療法では再発が多いことが報告されており,根治的な手術療法が第一選択と考えられるが,本保存加療例は抗凝固薬に直接経口抗凝固薬を用い,再発なく経過している.Paget-Schroetter症候群に対する直接経口抗凝固薬による保存加療に関する報告は乏しく,その有効性を今後検証してゆく必要があると考えられる.

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